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今日は、8月29日から名古屋シネマテークで公開される映画『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』をご紹介します。

【INTRODUCTION】

“マイノリティ”と呼ばれる彼らが教えてくれた、ありのままの自分。 心と体を解放する、新体験の“カウンセリング・ムービー”

本作は、欧州で実在する障がい者やトランスジェンダーなど、“マイノリティ”と呼ばれる人たちの “性”にもカメラを向けた衝撃作だ。強迫性障害をもつ孤独な主人公・ローラに、フランスの女優ローラ・ベンソンを迎え、ローラが好意をよせる無毛症のトーマスには、「ブレードランナー2049」 などハリウッド超大作にも出演するアイスランドのトーマス・レマルキスが選ばれた。そのトーマスとカウンセリングで交流をする車椅子の身体障がい者には、脊髄性筋萎縮症(SMA)を抱えるクリスチャン・バイエルラインがドイツから参加し、赤裸々なセックスシーンにも挑戦している。また、ローラがインターネット上で発見するセックスワーカーのハンナ・ホフマンも、50代で女性として 新しい人生をスタートした実在するトランスジェンダーだ。そんな〈現実〉と〈虚構〉が入り交じりな がら描かれる、彼らの自由な生き方は、見る者の倫理観を揺さぶり続けるだろう。ローラの心と体が解放されるとき、あなた自身もカウンセリングを体験したかのように、世界との見えない壁が取り除かれていく。

©Touch Me Not – Adina Pintilie

【STORY】

教えて。 あなたが、どう人に愛されてきたのかを。

ローラは、寝たきりの父親の介護で通院する日々を送っているが、彼女自身も人に触れられることに拒否反応をおこす精神的な障がいを抱えていた。ある日、ローラは病院で患者同士がカウンセリングする不思議な療養を目撃する。病により全身の毛がないトーマス、自由に四肢を動かせない車椅子のクリスチャンなど様々な症状を抱える人たちが、互いの身体に触れ合うことで自分を見つめていく。ローラは彼らを興味深く観察する中で、自分と同じような孤独感を持つトーマスに惹かれる。街でトーマスに導かれるように秘密のナイトクラブへ入ったローラは、そこで欲望のままに癒し合う群衆を目の当たりにするのだった。

©Touch Me Not – Adina Pintilie

【DATA】

 『タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~』

2018年製作/ルーマニア・ドイツ・チェコ・ブルガリア・フランス合作/125分/原題:Touch Me Not

出演:ローラ・ベンソン/トーマス・レマルキス/クリスチャン・バイエルライン/グリット・ウーレマン/アディナ・ピンティリエ/ハンナ・ホフマン/シーニー・ラブ/イルメナ・チチコワ

監督・脚本・編集:アディナ・ピンティリエ/製作:ビアンカ・オアナ, フィリップ・アヴリル, アディナ・ピンティリエ/音楽:アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン, イヴォ・パウノフ/撮影ジョージ・チッパー゠リールマーク/衣装デザイン:マリア・ピーテオ/製作:Big World Cinema、Afrobubblegum/配給・宣伝:ニコニコフィルム/配給後援:在日ルーマニア大使館/後援:Creative Europe Media、TorinoFilmLab, アトリエ・デ・シネフォンダシオン(カンヌ国際映画祭), CineMart(ロッテルダム 国際映画祭), CineLink(サラエヴォ映画祭), SEE. Cinema Network, Binger Filmlab、Nipkow Programm/支援:Romanian Film Center, EURIMAGES, Mitteldeutsche Medienförderung, TorinoFilmLab、Czech Film Fund, ブルガリア国立 フィルムセンター, ユーロメトロポール・ストラスブール市/協力:HBO ルーマニア, ルーマニアテレビジョン協会, Sensiblu, Christian Tours

©Touch Me Not – Adina Pintilie

【IMPRESSIONS】

この映画をLGBT関連の映画と位置させるのかどうかは別にして、純粋にこの映画を観始めたときには、ここに登場する人物が多少極端なマイノリティに偏り過ぎていると感じたため、感情移入しにくい映画かもしれないと危惧した。結果として、鑑賞直後に感動するとか納得するとか、そういった映画特有の醍醐味はあまり感じられない映画だった。しかし、独特の印象を見る側に与え、何かを問われているような後味を残す映画だと思う。ちなみに、再鑑賞したときは、最初感じた際物感はまったくなく、あらゆるシーンに美しささえ感じられた。

主人公のローラは、人から触れられたくない精神的障害を抱えている、とクレジットされているので、そういう設定なのだろう。彼女が日常生活を送るうえで、または社会生活を送るうえでそれが著しい支障を来しているとすれば、それは治療を要する障害ということになるだろう。障害であるかどうかは別にして、彼女は抑圧を抱えていたのだから、彼女の中で少なからず支障を来していたのだと思う。彼女は身体的な特徴や障害をもった人たちやトランスジェンダーの人との関わりの中で、心を開くこと、「ありのままの自分」を見せることが、彼女自身の抑圧の開放につながるのではないかということを感じていく。

個人的なことで申しわけないが、心理カウンセラー業を生業としている僕にとっては、邦題のみについた「ローラと秘密のカウンセリング」というサブタイトルには興味を惹かれた。何をもってカウンセリングというかは議論があると思うが、実はかつてローラと同じようなワークを受けたことがある。ローラの場合とは形式的にはまったく違うかもしれない。しかし、ローラと同じように、思考を通さないような状況を作り感情の身体的反応を見て、自分の本能を知っていくというようなワークだ。ローラが触れられることへの拒絶を叫びで反応したシーンに似ている。そこで、僕は自分の凶暴性を知ってしまうことになる。ワークのペアに殴りかかりそうになったのだ。僕の場合は怒りの感情は常にコントロールが必要なんだということを知らしめさせられた。この後、しばらく自分の凶暴性を受け止めきれずにいた時期があった。こういったワークやカウンセリングは向き不向きがある。ローラの場合は、自分の抑圧を知るいいきっかけになったということだ。

触れられたくない反応というのは、単に個人的なパーソナルスペースが人より広いだけの場合もある。自分なんか相手や社会にふさわしくないという感覚や否定的な評価に対する過敏な不安、何らかの理由で社会的な交流を回避したいなどのいろいろなパターンがある。どこに原因があるかによって解消法は変わってくる。この映画では、身体的な特徴に起因するネガティブな感情や行動や、トランスジェンダーの1例による苦悩と、それを何らかの形である程度受け入れ解放している人たちを背景に置きながら「ありのままの自分」を受け入れ、それを人に見てほしいと思える感情も受け入れていくわけだが、それはなかなか容易ではない。そして、それを見てくれる相手を見つけることも大変だ。しかも、「ありのままの自分」を見せあえる関係性の中に、性行為や恋愛感情または疑似恋愛感情が複雑に絡み合っているので、整理は難しい。自分の内面と単に向き合うということだけでなく、受け入れたくないと今まで思い続けていた「ありのままの自分」を受け入れていく過程を緻密で詳細に表現していると思う。「ありのままの自分」を受け入れていくことはここまで過酷なものだとも思えてしまう。

この映画は「LGBTの映画」というよりは「マイノリティの映画」と捉えた方が納得しやすい。マイノリティの権利や差別問題とはまったく違うところに位置する映画だと思う。社会的欲求や承認欲求と簡単に括れない本能や心理や情動が絡み合った内容に踏み込んでいる映画だ。おそらく、この人たちは自分たちとは違う特殊な人たちのことだと思われがちな日本ではまだ受け入れられにくいかもしれないが、ベルリン国際映画祭で最高賞を受賞しているということは、世界的にはこういった内容であっても評価されるということには注目したい。人によっては目を覆いたくなるようなシーンもあるかもしれない。しかし、われわれは目を覆ってはいけない、見ないことにしてはいけない映画なのだ、と思う。

 

■公開情報

8月29日から9月4日まで
名古屋シネマテークで1週間限定公開
連日14:20~
★前売り券(1200円)劇場にて発売中!

 

予告編:https://youtu.be/S861oejT2vQ

公式HP:http://tmn-movie.com/

名古屋シネマテークHP:http://cineaste.jp/

こんばんは。

今日は、11月9日から名演小劇場で公開される映画『ラフィキ:ふたりの夢』をご紹介します。

 

【INTRODUCTION】

ケニアのカラフルな最新カルチャーにのせて、自由な恋愛と幸せな未来を夢見るふたりを描く感動作!

2018年、カンヌ国際映画祭史上初のケニアからの出品(ある視点部門)という快挙を成し遂げると共に、トロント、シカゴ、ロンドン、ロッテルダムなど100以上もの映画祭に出品され、世界から熱く支持されたにもかかわらず、本国ケニアでは観ることのできない作品がある。ふたりの女性が恋に落ちる物語であることから、いまだ同性愛が違法とされ、禁固刑に処されることもあるケニアで上映禁止となったのだ。のちに、米アカデミー賞外国語映画賞へのエントリーの条件を満たすために、ナイロビのある映画館で2018年9月23日から9月30日の1週間だけ上映が決定。「長蛇の列」「チケットを求める電話が殺到」というニュースがSNSを飛び交った話題作が、ついに日本にもやってくる。

看護師になるのが目標のケナは、古いしきたりにとらわれた周囲の人たちに満たされない想いを抱えていた。両親は離婚し、ナイロビで母と暮らしていたが、国会議員に立候補した父のことは応援している。そんな時、父の対立候補の娘で自由奔放なジキと出会う。互いに強く惹かれたふたりは、「私たちは本物になろう」と誓い合う。だが、友情が愛情へと変わり始めた時、ふたりはこの恋は命がけだと知る。

カンヌをはじめ100以上もの映画祭に出品され、世界から暑く支持されている話題作。だが、いまだ同性愛が違法とされるケニアでは上映禁止となり、のちに1週間だけ限定公開された時は、「長蛇の列」というニュースがSNSを飛び交った。

監督は、デビュー作でアフリカのアカデミー賞を獲得、今最も輝く才能と絶賛されるワヌリ・カヒウ。ミュージシャンのサマンサ・ムガシア、監督にも進出したシェイラ・ムニヴァと、多彩な女優たちが競演。

音楽、ダンス、ファッション、アート-ポップでカラフルなアフリカンカルチャーにのせて、人生を豊かにする人と人の絆を描く感動作。

(引用:公式ホームページ http://senlis.co.jp/rafiki/

【DATA】

『ラフィキ:ふたりの夢』

 2018年製作/ケニア・南アフリカ・フランス・レバノン・ノルウェー・オランダ・ドイツ合作/82分/原題:Rafiki

出演:サマンサ・ムガシア/シェイラ・ムニヴァ/ジミ・ガツ/ニニ・ワシェラ/デニス・ムショカ/パトリシア・アミラ/ネヴィル・ミサティ

監督:ワヌリ・カヒウ/製作総指揮:ティム・ヘディントン/製作:スティーブン・マコヴィッツ/原案:モニカ・アラク・デ・イェコ/脚本:ワヌリ・カヒウ, シエナ・ベス/撮影:クリストファー・ウェセルス/製作:Big World Cinema、Afrobubblegum/配給:サンリス© Big World Cinema.

【IMPRESSIONS】

この映画を鑑賞した直後は、主人公たちが純粋無垢な自分たちの想いを貫き、当人たちではどうしようもない環境を乗り越えていくお手本のような恋愛映画という印象を受けた。なるべく先入観なしに観たかったので、ケニアの社会的背景や映画事情はわかっていない状況で観に行った。主人公たちの胸をえぐられるような苦しみや絶望感は、こみあげるような共感と感動をクレジットどおり呼び起こさせるものだった。

ケニアのLGBTに対する現状は、思っていたよりも壮絶で、同性愛行為自体が犯罪、映画はカンヌに選出されたが、ケニアでは上映禁止となった。ケニア映画検閲委員会(KFCB)は、同性愛のテーマとケニアでレズビアン主義を促進するという明白な目的のために映画を禁止し、違法であるとしてケニアの人々の文化と道徳的価値を傷つけると結論づけて上映を禁止した。2014年にもナイロビの芸術集団によって作られた東アフリカのLGBTQコミュニティについてのオムニバス映画が、同性愛映画として上映中止になっている。ナイロビでの1週間だけの上映が、米アカデミー賞外国語映画賞へのエントリーの条件を満たすためとなっているが、SNSネット上で上映中止に反対する声が挙がって大論争を巻き起こしたという経緯も影響しているようだ。実際に、映画館で長蛇の列ができ、チケットを求める電話が殺到したということで、ひとつの映画が、ケニア社会を変えていったとも言える。

ケニアでは現実にはありえなさそうだが、唯一父親が傷ついた主人公ケナを抱きしめるシーンには救われた。看護師になる夢を果たしたケナが知り合いの入院患者から激しい罵倒を浴びせられてもさらりとかわす場面では成長を感じさせるし、ラストシーン、ジキの傷が多少なりとも癒され未来を想像させるあたりも観終わったあとの後味は悪くなかった。
ただ、この映画の上映時間は82分と短い。細かいディテールの部分でいえば、ストーリーの深さの割に、どのように傷ついたか、どのように愛し合っていたかの表現が浅く、エピソードのつなぎも丁寧さが足りないように感じた。ストーリーの内容が濃いので、細かい部分に丁寧さを盛り込んで100分近い作品にしても長くは感じないと思った。冒頭、ケナがジキに惹かれていくまでが丁寧だっただけに、サッカーのシーンから雨が降り秘密の場所へと誘うあたりは陳腐な印象も残るし、ゲイ男性の若者の描き方にも雑な印象を受けた。

細かい点は抜きにしても、この映画は社会的問題提起の映画として、クレジットもされているし、レビューもその視点で書かれているものが多い。だとすれば、ケニアの実情を知っておく必要はあるように思う。

「ラフィキ」とはスワヒリ語で「友達」という意味らしい。これは、友達のような恋がしたいという意味ではなく、パートナーや恋人を紹介するときにケニアの人々は「友達」と表現して関係性をぼかすことがよくあるということに由来していると監督は言っている。それだけ、周囲に認められることが難しいことをタイトルに込めたというわけだ。ケニアに生まれていたら自分はどうなっていたんだろうと思うといたたまれなくなるが、「普通に恋がしたい」「本当の自分でいたい」「周囲に認められたい」ことに高さの差異はあれ、ハードルが高いことは日本でも同じ。LGBT目線でいえば、ケナやジキの孤独感をいろんな方に映画を観て知っていただきたいと思う。

予告編:https://www.youtube.com/watch?v=I5ITjFkBmBc

名演小劇場HP:http://meien.movie.coocan.jp/

こんにちは。

今日は、10月12日から名演小劇場で公開される映画『バオバオ フツウの家族』をご紹介します。

 

f:id:nagoyalgbt:20191007152713j:plain【INTRODUCTION】

 

赤ちゃんは誰の子? 誰が育てる? さまざまな問題を抱えながらも愛を信じ、新しい家族のカタチに向かって宇宙飛行士のような勇気で挑もうとする、ミレニアル世代の清新なLGBTQ映画

ロンドンの会社で働くジョアン(クー・ファンルー)と取引先の友人チャールズ(蔭山征彦)には、それぞれ画家シンディ(エミー・レイズ)と植物学者ティム(ツァイ・リーユン)という同性の恋人がいる。

4人はそれぞれの想いからシンディの子宮を借りた妊活に同意し、チャールズとティムの精液を採取してシンディの子宮に注入するのだが一向に妊娠しない。思い余った4人は病院での体外受精を決断する。ジョアンとシンディの卵子にチャールズとティムの精子を注入してできる二つの受精卵をシンディの子宮に戻して、男女の赤ちゃんを産み、男の子はジョアンたち、女の子はチャールズたちが引き取るというものだ。

順調そうに見えた矢先シンディは出血する。子供を奪われる悪夢にうなされるシンディのことが気がかりでジョアンは仕事で失敗をしてしまう。ロンドンであと1年がんばれば英国籍も取得できるというジョアンにとっては大きな痛手だ。そんなところへチャールズが小切手をもって訪ねてくる。病院から戻ったシンディは偶然それを見つけ、逃げるように台湾に戻り、幼なじみで好意を寄せてくれている警官タイ(ヤン・ズーイ)を頼る。一方、チャールズはティムに、赤ちゃんが自分たちの子供になることを伝える、手を打ってきたと…。

(引用:公式ホームページ http://baobao.onlyhearts.co.jp/

 

 

【DATA】

 

『バオバオ フツウの家族』

2018年製作/台湾/97分/原題:愛的卵男日記/英題:Baobao

出演:エミー・レイズ/クー・ファンルー/蔭山従彦/ツァイ・リーユン/ヤン・ズーイ

監督:シエ・グアンチェン/製作:リン・ウェンイー/脚本:デン・イーハン/製作:Helsinki-Filmi/配給:オンリー・ハーツ、GOLD FINGER/後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター

 

【IMPRESSIONS】

2018年秋に台湾で公開された本作は、それに先立ち同年8月から9月に開催された「第五回台湾国際クイアフィルムフェスティバル」のオープニング作品として上映され、海外では、スペインとロスアンゼルスの映画祭で上映されているよう。

この物語は、台湾で新人登竜門としていちばん大きな脚本賞のコンペから生まれた。2015年、これに応募した国立台湾大学大学院に在学中のデン・イーハンの脚本『我親愛的遺腹子』が優秀賞を獲得し、それがプロデューサーのリン・ウェンイー林文義の目にとまり、映画化が進んだとのこと。リン・ウェンイーは同性愛に詳しいシエ・グアンチェンを監督に起用し製作を開始したという経緯があるらしい。

この映画を単なる愛に関する現実との問題ととらえるか、問題提起の映画として捉えるかによって、この映画の評価もレビューも変わってくる。これを書くにあたって、同性愛者の当事者や非当事者の感想や著名人のコメントに目を通したが、当事者・非当事者関係なく賛否両論、特に価値観や差別感もさまざまで愕然とした。そしてまだまだわれわれ当事者には生きにくい社会であることを痛感した。ネタばれになるので詳しいところまで書けないのが歯がゆいが、法的に家族と認められないと分娩室に入れないなど制度的に同性愛当事者では認められないシーンでは、不条理なルールに腹立たしささも感じたし、登場人物の心の痛みに共感しすぎてしまい泣けてしまって冷静に観ることができない部分もあった。愛のあり方、家族としての価値観を観る側として考えるには素晴らしい作品であるし、映像の美しさ音楽の使い方も秀逸、とりわけ主人公4人の細かい心理描写を絶妙に表現する演技には脱帽。

しかし、この映画を社会的な問題提起として捉えるとしたら、評価は変わってくる。今年5月に同性婚が合法化されアジア全体から見てもLGBTに関して寛容度の違う台湾を現在の日本に置き換えることはできないし、ストーリーの設定自体を、荒唐無稽・絵空事・夢物語と捉えられてしまっておかしくない。

ただ、今後を含め、LGBTに関する社会のありようやこれからの取り組み、当事者・非当事者を問わず個々人の高い意識の持ち方や覚悟や価値観を真正面から受け止めていく契機としては充分に意味が見出せる映画ではあった。

LGBTに生まれるということは、多くの場合、親を動揺させ、将来に不安を伴い、理解をされにくい立場にあるから、本当の自分の気持ちを認めてほしい、知ってほしいという欲求が非当事者に較べ多いと感じている。相当リベラルな価値観を持つ親の元に生まれなければ、のびのびと幼少時代を送ることができない。その中で自分自身を受け入れきれずに大人になってしまった当事者にとっては、生きづらさを感じずにはいられないし、パートナーや周りの人たちへの承認欲求は自動的に強くなってしまう。存在が可視化されていないことはそこに由来すると思っている。できれば、それを踏まえたうえでこの作品を鑑賞していただきたいと感じた。

予告編:https://youtu.be/OaZOHoayVm4

名演小劇場HP:http://meien.movie.coocan.jp/

 

baobao.onlyhearts.co.jp

youtu.be

今日は、9月14日から名古屋シネマテークで公開される映画『トム・オブ・フィンランド』をご紹介します。

>『トム・オブ・フィンランド』

【INTRODUCTION】

国の「恥」とまで言われた男は、世界中の人々の「自由」と「誇り」のシンボルになった

鉛筆一本でゲイカルチャーに革命を起こした、20世紀最も偉大なエロティック・アーティストの数奇な半生

同性愛が厳しく罰せられた第二次世界大戦後のフィンランド。帰還兵のトウコ・ラークソネンは、昼間は広告会社で働き、夜は鍵のかかった自室で己の欲望をドローイングとして表現していた。スケッチブックの中で奔放に性を謳歌しているのは、レザーの上下に身を包み、ワイルドな髭をたくわえた筋骨隆々の男たち―。トウコが仲間とこっそり楽しむために描き続けたそれらの絵は、「トム・オブ・フィンランド」の作家名でアメリカの雑誌の表紙を飾ったことをきっかけに、ゲイ男性たちの希望のイメージとして世界中に広がっていく。

今やゲイカルチャーのアイコンとなっている、あの美しく逞しい男性像はどのように生まれたのか? 性的マイノリティに対する差別が激しかった時代、愛する人と外で手をつなぐことすらできない理不尽に苦しみ、肉親の無理解に傷つき、それでも描き続けた彼の原動力は何だったのか? そして、フレディ・マーキュリー、ファッションデザイナーのトム・フォード、写真家のロバート・メイプルソープをはじめ、無数の人々に勇気とインスピレーションを与えた彼のえの魅力とは―。

伝説のアーティストの知られざる生涯が今、スクリーンに蘇る。

(引用:公式ホームページ http://www.magichour.co.jp/tomoffinland/

 

 

【DATA】

『トム・オブ・フィンランド』

2017年制作/フィンランド・スウェーデン・デンマーク・ドイツ合作/116分/原題:Tom of Finland

出演:ペッカ・ストラング/ジェシカ・グラボウスキー/ラウリ・ティルカネン/ヤーコブ・オフテブロ/タイスト・オクサネン/シェーマス・サージェント/ニクラス・ホグナー

監督:ドメ・カルコスキ/製作:アレクシ・バルディ, ミーヤ・ハーベスト, アンニカ・サックスドーフ/原案:アレクシ・バルディ, ドメ・カルコスキ/脚本:アレクシ・バルディ/撮影:ラッセ・フランク/音楽:ヒルドゥール・グドナドッティル, ラッセ・エネルセン/製作:Helsinki-Filmi/配給:マジックアワー/後援:フィンランド大使館

 

【IMPRESSIONS】

思春期時代、それはまだ情報量も少なく、数少ないゲイ雑誌のグラビアをこっそり見る程度だったのを振り返ると、主人公の描く鉛筆一本の描写はエロティシズムを絶頂にさせたものだった。今作品を見ても鉛筆一本で描く表情やたたずまいは美しいと思えるが、情報量が圧倒的に違う今ではエロティシズムは感じられなくなってしまった。彼が表現したのは筋骨隆々でたくましい男性像。ゲイを美しいものと表現するのとは対極の表現。その分露骨な性描写が少ないのは、作品として受け入れやすいうえ、ゲイに生理的な抵抗を感じるヘテロセクシュアルにも見やすい映画になっていると感じる。

詳しい内容はネタバレを含んでしまうので、これから見る方たちのために詳しい感想は控えるが、この映画は「ゲイカルチャー」を描いた映画。時代背景は状況の説明に過ぎない。

しかし、現在ではあらゆる差別に寛容で、福祉制度も充実しているフィンランドにもこんな時代があったこと、特にゲイは悪とされた時代があったことは、知っておくべき。

主人公のトウコは自分がゲイ当事者であることに関して何の違和感も持っていない。むしろ誇りさえ感じる。戦争時のゲイバッシング、家族の無理解、エイズの社会に対する影響と差別、そしてエイズで大切な人たちを失っていくとてつもない悲しみ…。その中でも彼は自分がゲイであることを肯定し続けた。むしろ誇りさえ持っていた。彼はそんな生きる壁とは闘わずして、むしろ逃げながら、ゲイ当事者の中に勇気と誇りを与え続けた。それによって生きる希望を与えた。今更、この時代の映画が必要かどうかの議論を戦わせるべきではないというのが、この映画の正しい見方だと思う。

個人的に惹かれたのは、恋人ニパのファッション。彼の美しい顔立ちやルックスをさらに魅力的させる、当時としてはおそらくオーソドックスではないファッションセンスは特筆ものだと思う。彼がこだわったカーテンの色を好ましく思わなかった主人公も、彼の残り少ない余生のために部屋に取り入れていくシーンはジーンときた。

そして、もうひとつ、触れておかなければいけないのが妹の存在。主人公のトウコを全面的に支持し、恋敵を奪われても愛情を持って接していた彼女もトウコのゲイの部分は最後まで受け止めきれなかった。ゲイを「下品」とさえ言った。彼女が欲していた絵の才能も兄には生涯追いつかず、最愛の人を奪われ、兄がゲイであることを受け入れられなくても、愛を注ぎ続けていた彼女の苦悩にも人生を感じる。家族に愛されながらも、どこかゲイであることを受け入れてもらえない自分を重ね合わせてしまった。

最後に、言っておきたい。フィンランドと日本では時代的にも現在の状況においても、背景がまったく違う。正直、現在の日本で社会とのバランスを取りながら、生活をしている多くの日本のゲイの当事者の人たちには、今以上にゲイであることを誇りに思ってほしいと個人的には思っている。あくまで個人的に思うことだが、人としてLGBT非当事者と共存していくことより、人としてではなくゲイとして誇りを持っている自分を受け入れてもらいながら非当事者と共存していくことの方が圧倒的に自分の人生を謳歌し、充実した人生を送ることができると信じている。ゲイ当事者にいちばん観てほしい映画だと思った。

 

 

予告編:http://www.magichour.co.jp/tomoffinland/

名古屋シネマテークHP:

お久しぶりです。

今年も、お付き合いくださいませ。

興味のない方はスルーしてくださいね。◎は本命、○が対抗、▲大穴です。

第41回日本アカデミー賞

 【最優秀作品賞】 ◎『三度目の殺人』 ○『関ヶ原』 ▲『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
今回は、『あゝ、荒野』がノミネートされるべきでしょう。それ以外では大林宣彦監督の『花筐 HANAGATAMI』を有力視していましたが、これは来年の対象になるのかも。ということですごく苦労しましたが、『三度目の殺人』にしておこうと思います。

 【最優秀アニメーション作品賞】 ◎『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』 ○『夜は短し歩けよ乙女』 ▲『メアリと魔女の花』
ジブリ系なし、ドラえもんもなし、ということで、今回は『名探偵コナン』の可能性大と踏んだ。

 【最優秀監督賞】 ◎黒沢清『散歩する侵略者』 ○廣木隆一『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 ▲是枝裕和『三度目の殺人』
こちらは、作品賞が『三度目の殺人』なら是枝裕和監督に。しかし、ぶっちぎり作品がないために純粋に評価を見ると黒沢清監督の可能性が高いと見た。ホラー監督はなかなか受賞にいたらないので今回票が集中するのではないか。

 【最優秀脚本賞】 ◎是枝裕和『三度目の殺人』 ○山田洋次, 平松恵美子『家族はつらいよ2』 ▲斉藤ひろし『ナミヤ雑貨店の奇蹟
こちらは圧倒的に『三度目の殺人』でしょう。

 【最優秀主演男優賞】 ◎菅田将暉『あゝ、荒野 前篇』 ○岡田准一『関ヶ原』 ▲藤原竜也『22年目の告白-私が殺人犯です-』
菅田将暉しかありえません。あえて対抗馬を挙げるとすれば岡田准一。

 【最優秀主演女優賞】 ◎蒼井優『彼女がその名を知らない鳥たち』 ○長澤まさみ『散歩する侵略者』 ▲新垣結衣『ミックス。』
蒼井優と長澤まさみの一騎打ちだと思います。ほかに可能性があるとすれば新垣結衣。。

 【最優秀助演男優賞】 ◎役所広司『三度目の殺人』 ○役所広司『関ヶ原』 ▲西田敏行『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
いまさらですが、残念ながら有力な新鋭がなく、役所広司になりそう。大賞作品作品が『関ヶ原』になるか、『三度目の殺人』になるか。何度もとっているので、司会を何度も務めている西田敏行に功労的な票が集まれば可能性なくもないのかも。

 【最優秀助演女優賞】 ◎広瀬すず『三度目の殺人』 ○尾野真千子『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 ▲夏川結衣『家族はつらいよ2』
こちらもまったく見当がつかない5人。田中麗奈あたりがノミネートされていれば間違いなく獲ったと思われます。あえて選ぶとすれば、報知映画賞とブルーリボン賞にノミネートされていた広瀬すずか、日刊スポーツ映画賞を獲った尾野真千子くらいか。

 【最優秀音楽賞】 ◎鈴木慶一『アウトレイジ 最終章』 ○JIN『キセキ -あの日のソビト-』 ▲ルドヴィコ・エイナウディ『三度目の殺人』

 【最優秀撮影賞】 ◎瀧本幹也『三度目の殺人』 ○柴主高秀『関ヶ原』 ▲喜久村徳章『花戦さ』

 【最優秀照明賞】 ◎藤井稔恭『三度目の殺人』 ○宮西孝明『関ヶ原』 ▲長田達也『花戦さ』

 【最優秀美術賞】 ◎倉田智子『花戦さ』 ○原田哲男『関ヶ原』 ▲倉田智子, 小林久之『家族はつらいよ2』

 【最優秀録音賞】 ◎久連石由文『アウトレイジ 最終章』 ○冨田和彦『三度目の殺人』 ▲矢野正人『関ヶ原』

 【最優秀編集賞】 ◎是枝裕和『三度目の殺人』 ○原田遊人『関ヶ原』 ▲北野武, 太田義則『アウトレイジ 最終章』

 【外国作品賞】 ◎『ラ・ラ・ランド』 ○『ダンケルク』 ▲『ドリーム』
ア間違いなく『ラ・ラ・ランド』でしょう、と言いたいところですが、ほかの映画賞では結構『ダンケルク』『ドリーム』『美女と野獣』も獲っているので、正直いって混戦です。『女神の見えざる手』以外は可能性あり。

日本アカデミー賞の発表は3月2日です。お楽しみに。

第40回日本アカデミー賞決定しました。

ボクの予想、◎本命 ○対抗 ▲大穴です。

15部門中◎8部門的中(53.3%), ○3部門, ▲3部門, ノーマーク1部門でした。
去年が8部門的中、おととしが10部門的中、その前が6部門ということで、う~ん、最近ではまあまあだけど、もう少し当てられたかな、という印象です。

第40回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】 ◎『シン・ゴジラ』
【最優秀アニメーション作品賞】 ○『この世界の片隅に』
【最優秀監督賞】 ◎庵野秀明, 樋口真嗣『シン・ゴジラ』
【最優秀脚本賞】  新海誠『君の名は。』
【最優秀主演男優賞】 ○佐藤浩市『64-ロクヨン-』
【最優秀主演女優賞】 ◎宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』
【最優秀助演男優賞】 ○妻夫木聡『怒り』
【最優秀助演女優賞】 ◎杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』
【最優秀音楽賞】 ▲RADWIMPS『君の名は。』
【最優秀撮影賞】 ▲山田康介『シン・ゴジラ』
【最優秀照明賞】 ▲川邉隆之『シン・ゴジラ』
【最優秀美術賞】 ◎林田裕至, 佐久嶋依里『シン ・ゴジラ』
【最優秀録音賞】 ◎中村淳, 山田陽『シン・ゴジラ』
【最優秀編集賞】 ◎庵野秀明, 佐藤敦紀『シン・ゴジラ』
【外国作品賞】 ◎『ハドソン川の奇跡』

作品賞・監督賞は『怒り』だと思っていたところを敢えて『シン・ゴジラ』にして正解だったけれど、アニメーション作品賞・助演男優賞は、普通に予想したら当たったところでした。
なので、少し後悔が残りますが、まあ結局冒険してもしなくても、当たる数は同じだったような気がします。

第89回アカデミー賞、受賞者決まりました。

ボクの予想、◎本命 ○対抗 ▲大穴です。
24部門中◎16部門的中(66.7%), ○3部門, ▲4部門, ノーマーク1部門でした。
去年が17部門的中、おととしが10部門的中、その前が16部門、さらにその前が9部門ということでなかなかの成績で満足しています。

今年は、作品賞を発表後、間違いだったことが発覚。
予想していたのが、希望を含めて『ムーンライト』と冒険をしたので、そこが的中して超うれしかったです。
しかし、一旦壇上に上がった『ラ・ラ・ランド』のスタッフ・キャストがかわいそうになりました。
歴史に残る珍事件勃発ですね。

第89回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『ムーンライト』
【監督賞】 ◎デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』
【主演男優賞】 ◎ケイシー・アフレック『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
【主演女優賞】 ▲エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド』
【助演男優賞】 ◎マハーシャラ・アリ『ムーンライト』
【助演女優賞】 ◎ヴィオラ・デイヴィス『Fences』
【長編アニメ賞】 ◎『ズートピア』
【外国語映画賞】 ○『セールスマン』(イラン・フランス)
【オリジナル脚本賞】 ▲ケネス・ロナーガン『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
【脚色賞】 ◎バリー・ジェンキンズ, タレル・アルビン・マクレイニー『ムーンライト』
【美術賞】 ◎デヴィッド・ワスコ, サンディー・レイノルズ・ワスコ『ラ・ラ・ランド』
【撮影賞】 ◎リヌス・サンドグレン『ラ・ラ・ランド』
【衣装デザイン賞】  コリーン・アトウッド『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
【編集賞】 ▲ジョン・ギルバート『ハクソー・リッジ』
【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】 ○アレッサンドロ・ベルトラッツィ, ジェルジオ・グレギリーニ, クリストファー・ネルソン『スーサイド・スクワッド』
【作曲賞】 ◎ジャスティン・ハーウィッツ, ベンジ・パセク, ジャスティン・ポール『ラ・ラ・ランド』
【オリジナル歌曲賞】 ◎ジャスティン・ハーウィッツ, ベンジ・パセク, ジャスティン・ポール『ラ・ラ・ランド』
【音響賞(録音賞)】 ◎ケヴィン・オコネル, アンディ・ライト, ロバート・マッケンジー, ピーター・グレイス『ハクソー・リッジ』
【音響編集賞】 ▲シルビアン・ベルメイヤー『メッセージ』
【視覚効果賞】 ◎ロバート・レガート, アンドリュー・R・ジョーンズ, アダム・ヴァルデス, ダン・レモン『ジャングル・ブック』
【ドキュメンタリー賞】 ◎『O.J.: メイド・イン・アメリカ』
【短編ドキュメンタリー賞】 ◎『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』
【実写短編賞】 ◎『合唱』
【アニメーション短編賞】 ○『ひな鳥の冒険』

LGBT映画が作品賞を獲ったのは初めての快挙です。
しかも、黒人のゲイが主人公です。
去年、俳優陣で黒人ノミネートがセロだったことが話題になりましたが、はじめの方の発表で予想していたとはいえ助演が男女とも黒人だったので、これでデンゼル・ワシントンが獲ったらすごいことになるな、と一瞬思いました。
『ムーンライト』が作品賞をとったことも含め、人種差別・性差別に関心のないトランプ大統領に対する抗議だという見方もありますよね。
あまり政治的なことを持ち込みたくないですが、そうなのかもな~と思ったりしました。

お久しぶりです。

いやあ、毎年恒例なんで予想しましたが、前回の投稿が去年の予想というのはちょっとサボりすぎですね(汗)。

まあ、でも、今年も、お付き合いくださいませ。

興味のない方はスルーしてくださいね。◎は本命、○が対抗、▲大穴です。

第89回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『ムーンライト』 ○『ラ・ラ・ランド』 ▲『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
本当は、間違いなく『ラ・ラ・ランド』が獲るんじゃないかと思っているけど、希望を込めて『ムーンライト』に。でも、しばらくミュージカル獲ってないし、『ラ・ラ・ランド』だろうな~。この3作品の他に『メッセージ』の可能性もありだと思います。

【監督賞】 ◎デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』 ○バリー・ジェンキンズ『ムーンライト』 ▲ケネス・ロナーガン『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
監督賞は『セッション』で評価の上がったデイミアン・チャゼルに。作品賞が『ムーンライト』に行けばバリー・ジェンキンズだろうと思います。

【主演男優賞】 ◎ケイシー・アフレック『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 ○ライアン・ゴズリング『ラ・ラ・ランド』 ▲デンゼル・ワシントン『Fences』
こちらは、圧倒的にケイシー・アフレックが強い。でも、そうでなければ、あとは誰がとってもおかしくない。去年、圧倒的に黒人が無視されたので、デンゼル・ワシントンの可能性も。

【主演女優賞】 ◎ナタリー・ポートマン『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』 ○イザベル・ユペール『Elle』 ▲エマ・ストーン『ラ・ラ・ランド』
イザベル・ユペールが強いです。でも、同じくらいナタリー・ポートマンも強い。外国人に評価が厳しいことを考慮して、ナタリー・ポートマンにしてみました。

【助演男優賞】 ◎マハーシャラ・アリ『ムーンライト』 ○ジェフ・ブリッジス『最後の追跡』 ▲ルーカス・ヘッジズ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
助演男優賞はもっとも混戦が予想されます。でも頭ひとつマハーシャラ・アリが抜き出ていると思います。また今年も黒人に評価が厳しければ、他は誰が獲ってもおかしくない感じがします。

【助演女優賞】 ◎ヴィオラ・デイヴィス『Fences』 ○ミシェル・ウィリアムズ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 ▲ナオミ・ハリス『ムーンライト』
こちらも、助演男優賞と同じ感じです。メリル・ストリープはありえないと思います。

【長編アニメ賞】 ◎『ズートピア』 ○『Kubo and the Two Strings』 ▲『モアナと伝説の海』
アニメも混戦。無難な予想にしました。

【外国語映画賞】 ◎『ありがとう、トニ・エルドマン』(ドイツ・オーストリア) ○『セールスマン』(イラン・フランス) ▲『幸せなひとりぼっち』(スウェーデン・ノルウェー)
こちらは、『ありがとう、トニ・エルドマン』と『セールスマン』の一騎打ちだと思います。

【オリジナル脚本賞】 ◎テイラー・シェリダン『最後の追跡』 ○デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』 ▲ケネス・ロナーガン『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

【脚色賞】 ◎バリー・ジェンキンズ他『ムーンライト』 ○エリック・ハイセラー『メッセージ』 ▲ルーク・デイヴィス『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』

【美術賞】 ◎デヴィッド・ワスコ他『ラ・ラ・ランド』 ○スチュアート・クレイグ他『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 ▲パトリス・バーメット他『メッセージ』

【撮影賞】 ◎リヌス・サンドグレン『ラ・ラ・ランド』 ○ジェームズ・ラクストン『ムーンライト』 ▲ブラッドフォード・ヤング『メッセージ』

【衣装デザイン賞】 ◎マデリーン・フォンテーヌ『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』 ○メアリー・ゾフレス『ラ・ラ・ランド』 ▲コンソラータ・ボイル『マダムフローレンス! 夢見るふたり』

【編集賞】 ◎トム・クロス『ラ・ラ・ランド』 ○ナット・サンダーズ他『ムーンライト』 ▲ジョン・ギルバート『Hacksaw Ridge』

【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】 ◎ジョエル・ハーロウ他『スター・トレック BEYOND』 ○アレッサンドロ・ベルトラッツィ『スーサイド・スクワッド』 ▲ラヴ・ラーソン他『幸せなひとりぼっち』

【作曲賞】 ◎ジャスティン・ハーウィッツ他『ラ・ラ・ランド』 ○ミカチュー(ミカ・レヴィ)『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』 ▲ニコラス・ブリテル『ムーンライト』

【オリジナル歌曲賞】 ◎ジャスティン・ハーウィッツ他“City of Stars”『ラ・ラ・ランド』 ○リン・マヌエル・ミランダ“How far I’ll Go”『モアナと伝説の海』 ▲ジャスティン・ティンバーレイク他“Can’t Stop the Feeling !”『Trolls』

【音響賞/録音賞】 ◎ケヴィン・オコネル他『Hacksaw Ridge』 ○アンディー・ネルソン他『ラ・ラ・ランド』 ▲クロード・ラ・アヤ他『メッセージ』

【音響編集賞】 ◎ロバート・マッケンジー他『Hacksaw Ridge』 ○アイ・リング・リー他『ラ・ラ・ランド』 ▲シルヴェイン・ベルメイヤー『メッセージ』

【視覚効果賞】 ◎ロバート・レガート他『ジャングル・ブック』 ○リチャード・ブラフ他『ドクター・ストレンジ』 ▲ジョン・ノール他『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

【ドキュメンタリー賞】 ◎『O.J.: Made in America』 ○『13th -憲法修正第13条-』 ▲『I Am Not Your Negro』
混戦。これもどれも強いです。レベルが高いです。

【ドキュメンタリー短編賞】 ◎『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』 ○『最期の祈り』 ▲『4.1 Miles

【実写短編賞】 ◎『合唱』 ○『タイムコード』 ▲『彼女とTGV』

【短編アニメ賞】 ◎『盲目のヴァイシャ』 ○『ひな鳥の冒険』 ▲『Pearl』

第40回日本アカデミー賞

 【最優秀作品賞】 ◎『シン・ゴジラ』 ○『怒り』 ▲『64-ロクヨン-』
いやあ、一見最多ノミネートの『怒り』が強そうだけど、1部門少ないだけの『シンゴジラ』が結構他の賞レースで作品賞を獲っているので、なんとなくここに来て勢いを感じるのであえて大胆予想にしました。『家族はつらいよ』以外は可能性あり。でも、『怒り』か『シンゴジラ』だと思います。

 【最優秀アニメーション作品賞】 ◎『君の名は。』 ○『この世界の片隅に』 ▲『映画『聲の形』』
通常なら作品賞『怒り』、アニメ『この世界の片隅に』にするところ。『君の名は。』はものすごいことになった興行収入と、来年アメリカのアカデミー賞のアニメ部門の対象になることから考えて『君の名は。』にしてみました。あと、監督賞に片渕須直がもれて新海誠がノミネートされたのも大きな要因です。う~ん、でも冷静に評価すると日本アカデミー賞の場合、『怒り』『この世界の片隅に』かな~。

 【最優秀監督賞】 ◎庵野秀明『シン・ゴジラ』 ○李相日『怒り』 ▲新海誠『君の名は。』
こちらは、作品賞が『シンゴジラ』なら庵野秀明に、『怒り』なら李相日になると思う。なので、『64-ロクヨン-』なら瀬々敬久だと思います。

 【最優秀脚本賞】 ◎中野量太『湯を沸かすほどの熱い愛』 ○李相日『怒り』 ▲久松真一, 瀬々敬久『64-ロクヨン-
こちらは圧倒的に中野量太の評価が高い。でも、全体に『怒り』の独壇場になれば李相日で。

 【最優秀主演男優賞】 ◎松山ケンイチ『聖の青春』 ○佐藤浩市『64-ロクヨン-』 ▲綾野剛『日本で一番悪い奴ら』
こちらは結構混戦。おととし、最有力だった綾野剛がノミネートされず、今年ノミネートされたのは今年の受賞に影響するかもしれないと思います。安藤サクラが去年受賞できたように。逆に『怒り』主演の渡辺謙がノミネートされなかったのが、この予想になっている原因のひとつ。おととしの綾野剛、去年の池松壮亮のように今年は『デストラクションベービーズ』の柳楽優弥がノミネートからはずれ、『葛城事件』の三浦友和も漏れたので、この顔ぶれだと俄然松山ケンイチが有力視されてきていると思います。

 【最優秀主演女優賞】 ◎宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』 ○大竹しのぶ『後妻業の女』 ▲宮崎あおい『怒り』
こっちも混戦で、広瀬すず以外は全員可能性あり。宮沢りえと大竹しのぶの一騎打ちだと思うがふたりとも何度も受賞しているので、ここで気になるのが黒木華。でも、おととし去年と2年連続助演を獲っているので3年連続とまではいかなさそう。そうすると急にクローズアップされるのが宮崎あおい。『怒り』が総取りすれば可能性がなくもないところです。

 【最優秀助演男優賞】 ◎竹原ピストル『永い言い訳』 ○妻夫木聡『怒り』 ▲リリー・フランキー『SCHOOP!』
こちらも『怒り』の勢いが強ければ妻夫木聡になるかもしれないし、役柄からしても贔屓したくなるところです。でも意外と今年は賞が取れていないので竹原ピストルがいちばん強そう。ただ、松山ケンイチが主演を取ると、結構評価の高い東出昌大にも可能性が出てきそうな感じです。

 【最優秀助演女優賞】 ◎杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』 ○市川実日子『シン・ゴジラ』 ▲宮崎あおい『バースデーカード』
こちらは杉咲花に決まりそうですが、『シンゴジラ』ががんばれば市川実日子も結構あちこちで評価されているので可能性があると思う。票が割れると宮崎あおいの主演助演ダブル受賞が見えてくるけど、岡田准一や真木よう子のときのような勢いは感じず、結局どちらも逃すことになりそうな。逆に、『怒り』が総なめすると、主演は難しい広瀬すずが取る可能性もありそうな気がします。

 【最優秀音楽賞】 ◎コトリンゴ『この世界の片隅に』 ○鷺巣詩郎『シン・ゴジラ』 ▲RADWIMPS『君の名は。』

 【最優秀撮影賞】 ◎斉藤幸一『64-ロクヨン-』 ○笠松則通『怒り』 ▲山田康介『シン・ゴジラ』

 【最優秀照明賞】 ◎豊見山明長『64-ロクヨン-』 ○中村裕樹『怒り』 ▲川邉隆之『シン・ゴジラ』

 【最優秀美術賞】 ◎林田裕至, 佐久嶋依里『シン・ゴジラ』 ○新田隆之『殿、利息でござる!』 ▲都築雄二, 坂原文子『怒り』

 【最優秀録音賞】 ◎中村淳, 山田陽『シン・ゴジラ』 ○白取貢『怒り』 ▲高田伸也『64-ロクヨン-』

 【最優秀編集賞】 ◎庵野秀明, 佐藤敦紀『シン・ゴジラ』 ○今井剛『怒り』 ▲早野亮『64-ロクヨン-』
『怒り』『シンゴジラ』の勢いがあれば、スタッフは全部同じ作品になる可能性あり。

 【外国作品賞】 ◎『ハドソン川の奇跡』 ○『オデッセイ』 ▲『ズートピア』
アメリカではさほど評価の高くなかった『ハドソン川の奇跡』が日本の映画賞の外国語映画賞をめちゃくちゃ獲っています。ということで、ここは迷いなく。

アカデミー賞の発表は2月27日(日本時間の27日)、日本アカデミー賞の発表は3月3日です。お楽しみに。

遅くなりました。

アカデミー賞の結果です。

◎は本命、○が対抗、▲大穴です。

第88回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『スポットライト 世紀のスクープ』

【監督賞】 ▲アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ『レヴェナント:蘇えりし者』

【主演男優賞】 ◎レオナルド・ディカプリオ『レヴェナント:蘇えりし者』

 【主演女優賞】 ◎ブリー・ラーソン『ルーム』

 【助演男優賞】 ◎マーク・ライランス『ブリッジ・オブ・スパイ』

 【助演女優賞】 ◎アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』

 【長編アニメ賞】 ○『インサイド・ヘッド』

 【外国語映画賞】 ◎『サウルの息子』(ハンガリー)

 【オリジナル脚本賞】 ◎トム・マッカーシー他『スポットライト 世紀のスクープ』

 【脚色賞】 ▲チャールズ・ランドルフ他『マネー・ショート 華麗なる大逆転』

 【美術賞】 ◎コリン・ギブソン『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 【撮影賞】 ▲エマニュエル・ルベツキ『レヴェナント:蘇えりし者』

 【衣装デザイン賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 【編集賞】 ◎マーガレット・シクセル『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 【作曲賞】 ◎エンニオ・モリコーネ『ヘイトフル・エイト』

 【オリジナル歌曲賞】 ◎Writing’s on the Wall『007/スペクター』

 【音響賞/録音賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 【音響編集賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 【視覚効果賞】  『エクス・マキナ』

 【ドキュメンタリー賞】 ◎『Amy』

 【ドキュメンタリー短編賞】  『A Girl in the River : The Prince of Forgiveness

 【実写短編賞】 ▲『Stutterer』

 【短編アニメ賞】 ◎『Bear Story (Historia De Un Oso)』

第39回日本アカデミー賞

 【最優秀作品賞】 ◎『海街diary』

 【最優秀アニメーション作品賞】 ○『バケモノの子』

 【最優秀監督賞】 ◎是枝裕和『海街diary』

 【最優秀脚本賞】 ▲足立紳『百円の恋

 【最優秀主演男優賞】 ◎二宮和也『母と暮せば』

 【最優秀主演女優賞】 ◎安藤サクラ『百円の恋』

 【最優秀助演男優賞】 ◎本木雅弘『日本のいちばん長い日』

 【最優秀助演女優賞】 ○黒木華『母と暮せば』

 【最優秀音楽賞】 ○サカナクション『バクマン。』

 【最優秀撮影賞】 ◎瀧本幹也『海街diary』

 【最優秀照明賞】 ◎藤井稔恭『海街diary』

 【最優秀美術賞】  花谷秀文『海難1890』

 【最優秀録音賞】  松陰信彦『海難1890』

 【最優秀編集賞】  大関泰幸『バクマン。』

 【外国作品賞】 ◎『アメリカン・スナイパー』

米アカデミー賞は、去年の失敗に較べいい成績を収めることができました。とくに俳優陣はよく当たったと思います。敢えて言うと、監督賞はちょっと意外で予想できませんでしたね。

日本アカデミー賞も、よく当たったと思います。スタッフの方は少しノーマークが多かったですが。

ちょっと嬉しいです。

また、来年も懲りずに頑張ります。

お久しぶりです。

例年通り日米のアカデミー賞を予想してみましたので、お付き合いくださいませ。

興味のない方はスルーしてくださいね。◎は本命、○が対抗、▲大穴です。

第88回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『スポットライト 世紀のスクープ』 ○『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ▲『レヴェナント:蘇えりし者』

【監督賞】 ◎ジョージ・ミラー『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○トーマス・マッカーシー『スポットライト 世紀のスクープ』 ▲アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ『レヴェナント:蘇えりし者』

【主演男優賞】 ◎レオナルド・ディカプリオ『レヴェナント:蘇えりし者』 ○マット・デイモン『オデッセイ』 ▲マイケル・ファスベンダー『スティーブ・ジョブズ』

【主演女優賞】 ◎ブリー・ラーソン『ルーム』 ○シャーロット・ランプリング『さざなみ』 ▲シアーシャ・ローナン『ブルックリン』

【助演男優賞】 ◎マーク・ライランス『ブリッジ・オブ・スパイ』 ○シルヴェスタ・スタローン『クリード チャンプを継ぐ男』 ▲トム・ハーディ『レヴェナント:蘇えりし者』

【助演女優賞】 ◎アリシア・ヴィキャンデル『リリーのすべて』 ○ケイト・ウィンスレット『スティーブ・ジョブズ』 ▲ジェニファー・ジェイソン・リー『ヘイトフル・エイト』

【長編アニメ賞】 ◎『思い出のマーニー』 ○『インサイド・ヘッド』 ▲『Anomalisa』

【外国語映画賞】 ◎『サウルの息子』(ハンガリー) ○『Mustang』(フランス) ▲『A War』(デンマーク)

【オリジナル脚本賞】 ◎トム・マッカーシー他『スポットライト 世紀のスクープ』 ○ジョシュ・クーリー『インサイド・ヘッド』 ▲イーサン&ジョエル・コーエン『ブリッジ・オブ・スパイ』

【脚色賞】 ◎ドリュー・ゴナード『オデッセイ』 ○フィリス・ナジー『キャロル』 ▲チャールズ・ランドルフ他『マネー・ショート 華麗なる大逆転』

【美術賞】 ◎コリン・ギブソン『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○『レヴェナント:蘇えりし者』 ▲『オデッセイ』

【撮影賞】 ◎エドワード・ラックマン『キャロル』 ○ジョン・シール『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ▲エマニュエル・ルベツキ『レヴェナント:蘇えりし者』

【衣装デザイン賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○『キャロル』 ▲『シンデレラ』

【編集賞】 ◎マーガレット・シクセル『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○ハンク・コーウィン『マネー・ショート 華麗なる大逆転』 ▲トム・マカードル『スポットライト 世紀のスクープ』

【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○『100歳の華麗なる冒険』 ▲『レヴェナント:蘇えりし者』

【作曲賞】 ◎エンニオ・モリコーネ『ヘイトフル・エイト』 ○カーター・パウエル『キャロル』 ▲『ブリッジ・オブ・スパイ』

【オリジナル歌曲賞】 ◎Writing’s on the Wall『007/スペクター』 ○Simple Song #3『Youth』 ▲Earned It『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』

【音響賞/録音賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』 ▲『レヴェナント:蘇えりし者』

【音響編集賞】 ◎『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ○『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』 ▲『レヴェナント:蘇えりし者』

【視覚効果賞】 ◎『オデッセイ』 ○『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ▲『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

【ドキュメンタリー賞】 ◎『Amy』 ○『カルテル・ランド』 ▲『ルック・オブ・サイレンス』

【ドキュメンタリー短編賞】 ◎『Last Day of Freedom』 ○『Chau, beyond the Lines』 ▲『Claude Lanzmann: Spectres of the Shoah』

【実写短編賞】 ◎『Ave Maria』 ○『Day One』 ▲『Stutterer』

【短編アニメ賞】 ◎『Bear Story (Historia De Un Oso)』 ○『World of Tomorrow』 ▲『Prologue』

第39回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】 ◎『海街diary』 ○『日本のいちばん長い日』 ▲『百円の恋』

【最優秀アニメーション作品賞】 ◎『百日紅~Miss HOKUSAI~』 ○『バケモノの子』 ▲『心が叫びたがってるんだ。』

【最優秀監督賞】 ◎是枝裕和『海街diary』 ○原田眞人『日本のいちばん長い日』 ▲武正晴『百円の恋』

【最優秀脚本賞】 ◎是枝裕和『海街diary』 ○原田眞人『日本のいちばん長い日』 ▲足立紳『百円の恋』

【最優秀主演男優賞】 ◎二宮和也『母と暮せば』 ○大泉洋『駆込み女と駆出し男』 ▲佐藤浩市『起終点駅 ターミナル』

【最優秀主演女優賞】 ◎安藤サクラ『百円の恋』 ○綾瀬はるか『海街diary』 ▲吉永小百合『母と暮せば』

【最優秀助演男優賞】 ◎本木雅弘『日本のいちばん長い日』 ○本木雅弘『天空の蜂』 ▲新井浩文『百円の恋』

【最優秀助演女優賞】 ◎吉田羊『映画 ビリギャル』 ○黒木華『母と暮せば』 ▲夏帆『海街diary』

【最優秀音楽賞】 ◎菅野よう子『海街diary』 ○サカナクション『バクマン。』 ▲富貴晴美『日本のいちばん長い日』

【最優秀撮影賞】 ◎瀧本幹也『海街diary』 ○藤澤順一『ソロモンの偽証 前篇・事件』 ▲上柴主高秀『日本のいちばん長い日』

【最優秀照明賞】 ◎藤井稔恭『海街diary』 ○宮西孝明『日本のいちばん長い日』 ▲渡邊孝一『母と暮せば』

【最優秀美術賞】 ◎三ツ松ケイコ『海街diary』 ○原田哲男『日本のいちばん長い日』 ▲出川三男『母と暮せば』

【最優秀録音賞】 ◎弦巻裕『海街diary』 ○照井康政, 矢野正人『日本のいちばん長い日』 ▲岸田和美『母と暮せば』

【最優秀編集賞】 ◎是枝裕和『海街diary』 ○原田遊人『日本のいちばん長い日』 ▲石井巌『母と暮せば』

【外国作品賞】 ◎『アメリカン・スナイパー』 ○『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 ▲『セッション』

米アカデミー賞は、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』か『レヴェナント:蘇えりし者』っぽいけど、ちょっと冒険。去年『バードマン』だったので、2年続けてメキシコ人監督に票が行くかなー、ということで、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』にするのが順当な予想かも。小さい賞をたくさん獲っている『スポットライト 世紀のスクープ』にしてみました。『思い出のマーニー』もまずありえなくて『インサイドヘッド』だと思います(汗)。自信あるのは外国語映画賞と長編ドキュメンタリー賞のみ。

日本アカデミー賞は、本当は『日本のいちばん長い日』になりそう。『海街diary』は小粒すぎな気がする。作品賞が『日本のいちばん長い日』なら、演技賞以外は全部『日本のいちばん長い日』になるだろうと思う。でも、去年が『永遠の0』だったので、やはり今年は『海街diary』にしておく。助演女優は黒木華っぽいけど、2年続けてじゃなくていいよね、ってことで。

アカデミー賞の発表は日本時間で2月29日、日本アカデミ賞の発表は3月4日です。お楽しみに。