Archive for 12月, 2008


 今日は今年観た今年公開の映画からボクの選出するベスト10を発表します。
 もちろん偏ってます。ひとつの参考にしてください。今年観た映画は全部で169本。久しぶりに50本くらいから100本を超えました。入院中毎日観てたのが数をこなせた原因ですね。でも秋口の作品は入院していて劇場に行けずDVD化もされてないので見れてないのが残念です。

1.潜水服は蝶の夢を見る
2.最高の人生の見つけ方
3.奇跡のシンフォニー
4.4分間のピアニスト
5.つぐない
6.スウィーニー・トッド~フリート街の悪魔の理髪師
7.西の魔女が死んだ
8.ジェシー・ジェームズの暗殺
9.やわらかい手
10.マイ・ブルーベリー・ナイツ

 1位2位は譲れない感じです。奇しくも人生や死について考えるドラマが続いた。3位4位も音楽に関する作品が被ったが3位はできすぎの運命にでも感動しました。4位はラストのピアノ演奏に圧巻、5位は正統派のドラマです。6位にホラーミュージカル、7位に邦画を入れました。邦画は残念ながらこの1本。『おくりびと』が観たかったです。これでベスト10に入れたかったけどはみ出たのが『いつか眠りにつく前に』『美しすぎる母』『イースタン・プロミス』『シルク』『中国の植物学者の娘たち』。

ベスト監督『つぐない』ジョー・ライト
ベスト脚本『最高の人生の見つけ方』ジャスティン・ザッカム
ベスト撮影『スウィーニー・トッド』ダリウス・ウォルスキー
ベスト音楽『奇跡のシンフォニー』マーク・マンシーナ
ベスト男優『ダークナイト』ヒース・レジャー
ベスト女優『美しすぎる母』ジュリアン・ムーア

 こんな感じです。男優は追悼の意も込めて。写真、凝ってみました。来年もたくさん見たいと思います。

 

 フィラデルフィアで、2人の弁護士が公害訴訟で争っていた。原告側の弁護士ジョー・ミラーと被告側の、大手法律事務所所属の弁護士アンドリュー・ベケット、ミラー弁護士は敗北した。夜、ベケットは会社で上司から褒められ、次の大きな仕事を任される。数ヵ月後、ひどく痩せ衰えたベケット弁護士がミラーの事務所を訪ねてきた。握手をし、どうしたのかと尋ねるミラーに対してベケットは、エイズを理由に会社を解雇されたので裁判を起こして欲しいと頼んだ。しかし、自身がゲイ嫌いでエイズに対する偏見を持っていたミラーは、ベケットの依頼を断る。ベケットは悔しそうに、恨めしそうにミラーの法律事務所看板を見つめる。一度は依頼を断ったミラーだったが、大手法律事務所を相手に法廷で勝って、自身の実績を上げるために、あらためてベケットの依頼を受けることにする。裁判の論点はベケット解雇の理由に絞られた。ベケットの元の所属事務所は、重要な裁判の書類を失くしたことや力量の不足を主張したが、ベケットは、事務所の健康診断でHIVウィルス感染者だと分かった事が理由だと主張した。ベケットが同棲している恋人ミゲールや、ベケットの家族が見守る中裁判は進行していく。予断を許さぬ裁断の行方と並行して、ベケットの症状は次第に悪化していく。遂にベケットは裁判中に倒れ、病院に運ばれた。ミラーは原告側の勝訴の報を、ベッドの上のベケットに告げる。数日後、大勢の人々に見守られながらベケットは静かに息を引き取り、ミラーはかけがいのない友の死を実感した。
 エイズで解顧された弁護士とエイズに偏見を持つ弁護士の2人が、差別と偏見という敵に闘いを挑む社会派のヒューマン・ドラマ。監督は『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ。脚本はロン・ナイスワーナー、撮影も『羊たちの沈黙』のタク・フジモト。音楽も同作のハワード・ショア、挿入歌もブルース・スプリングスティーン、ニール・ヤング、マリア・カラスの曲が彩る。ブルース・スプリングティーンの「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」はアカデミー賞の主題歌賞も受賞。出演はベケット役でトム・ハンクスが第66回アカデミー最優秀主演男優賞を受賞した。ミラーにはデンゼル・ワシントン、ベケットの恋人にアントニオ・バンデラス、他にジェイソン・ロバーズ、メアリー・スティーンバージェン、ジョアン・ウッドワードらが脇を固める。
 テーマはもちろんエイズや同性愛者を含む差別問題にある。もちろん差別していいわけはない、それは最初から明白。しかし、本能的に避けてしまう部分が多くの人にあることは否めない。ことに、この映画では、エイズは差別すべきでないが、輸血や薬害でのエイズは差別すべきでない、同性愛者は自業自得だという伏線が存在している。ダークな部分を描ききったかが焦点になる。この映画では隠そうとするベケットと差別や偏見に対して心情が変化してゆくミラーに表現される。これは2人の名演により感動的な映画に仕上がっている。しかし、正直、もっと泥臭く追及してもよいのではないかというのが本音だ。法廷での駆け引きと日常の差別の演出のバランスにちょっと甘さを感じたように思う。それでも、この作品は当時暗黙のうちにタブーとされていた世界を真っ先に真っ向から取り組んだ画期的な映画だったと思う。そのくらい衝撃はあった。
 この作品でのトム・ハンクスのオスカー受賞はダークホース、翌年の『フォレスト・ガンプ』での受賞は本命だった。つまり、翌年以降コメディも演じられる演技派男優として、当然のようにノミネートされる俳優になってゆくと誰もが思わず、彼に名誉を与えたのだ。彼はそれまでコメディを中心に演じてきて、大胆なダイエットで演技力を見せつけるかのような表現をした。明らかにこの映画が転機になったと言える。
 しかし、何より感動するのは、ベケットが自室で、マリア・カラスの「アンドレ・シェニエ」のアリアをCDで聞くシーン。絶望のどん底から希望の光を見つけていくかを模索してゆくかのようなシーン、自分の夢を熱くミラーに語る。フィラデルフィアは絶望から希望へ、その心境の背景にふさわしい街。絶望も希望も受け止めてくれる街にボクの目には映った。

◎作品データ◎
『フィラデルフィア』
原題:Philadelphia
1993年アメリカ映画/上映時間:2時間5分/トライスター配給
監督:ジョナサン・デミ/製作総指揮:ゲイリー・ゴーツマン, ケネス・ウット, ロン・ボズマン/製作:エドワード・サクソン, ジョナサン・デミ/脚本:ロン・ナイスワーナー/音楽:ハワード・ショア/撮影:タク・フジモト
出演:トム・ハンクス, デンゼル・ワシントン, アントニオ・バンデラス, ジェイソン・ロバーツ, メアリー・スティンバーゲン

recommend★★★★★★★☆☆☆
favorite     ★★★★★★☆☆☆☆

 

 難読症というハンディキャップがコンプレックスで、ただひとつ誇れるのは周りが羨むグラマラスなルックスだけのマギー。一方、姉のローズは弁護士として活躍して成功しているが、自分の容姿に自信が持てずにいた。定職にも就かず、ローズの家に居候していたマギーはある日、訪ねてきた彼女の恋人と関係を持ってしまう。唯一の理解者だったローズを怒らせ家を追い出されてしまう。遅まきながら自立の坂道を登り始める。よろめき、つまずき、傷ついて、自分のみじめさを噛みしめる日々。どこにも行く当てのないマギーは、仕方なく亡くなった母方の祖母エラのもとを訪ね、彼女が世話役をする老人たちの施設で働かせてもらう。
 対照的な2人の姉妹の人生を、キャメロン・ディアス、トニ・コレット共演で描く感動ストーリー。ジェニファー・ウェイナーの同名小説を『L.A.コンフィデンシャル』のカーティス・ハンソン監督が映画化。『L.A.コンフィデンシャル』と同じ監督とは思えない心情を深く表現したドラマになっている。監督カーティス・ハンソンと『エリン・ブロコビッチ』の脚本家スザンナ・グラントの豪華顔合わせだ。製作にリドリー・スコットの名が連なっているのも話題。
 一時の人気には翳りが見え始めたが相変わらず人気絶頂のキャメロン・ディアスが女優としての新境地を開いたと言える。キャリアウーマンでおしゃれに縁のない姉には、『シックス・センス』のトニ・コレット、マギーの将来にヒントをくれる祖母にこの作品でゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞した名女優シャーリー・マクレーンが扮する。
 設定としてはバリバリのキャリアウーマンの姉とルックスだけが取り柄の何をやっても駄目な妹の姉妹愛を描くというありきたりなものだが、ここはタイトルに注目したい。『イン・ハーシューズ』。キャメロン・ディアス演じるマギーは、姉のローズの唯一のおしゃれハイヒールを漁っては盗み履きし、それが自分のセルフコーディネイトのひとつだった。しかし本当は30歳目前にして自分にぴったり合う靴が見つけられず、裸足でさまよい続けている。実際に彼女にいちばん合った靴は老人たちの施設で働くときに履いていた洗いざらしのスニーカーだった。スニーカーが似合うこの土地で、マギーは今まで知らなかった本当の自分を知る。ここがタイトルの深い意味合いだ。女性の靴のセンスの良し悪しはわからないが、というか、男性靴もわかってないけど、ここでいう自分に合った靴は見た目にもまして、履き心地のことなんだと思う。
 そして、もうひとつのキーワード、「難読症」。子どもの頃にトム・クルーズやキアヌ・リーブスが克服したと言われているアメリカではそう珍しくもない症状だ。しかし、マギーはわがまま奔放な性格から大人になるまで引きずってしまった。しかし、それが、ラスト近くの詩を朗読するシーンで深い感動を呼ぶ。彼女は施設で本が読めなくなった老人から、朗読を頼まれる。なぜかここでは彼女は投げ出さなった。彼女が変わったことを象徴するシーンだ。彼女が変わったことで姉も変わろうとする。溝が埋まってゆく。
 3人の個性がそれぞれに活き、コメディから愛情の機微を繊細に表現するドラマに変わってゆく。マギーの心の変化と相俟ってドラマが色合いを変えていく心温まる秀作だ。
 正直、女性目線の映画で男性よりも女性に見てもらいたい作品。しかし、自分の身の丈に合った靴を探していくのは男も同じ。人生を歩んでいくために履く靴がいかに重要なものかを教えてくれる。オトコもみるべきかもしれない。深い溝もやさしさや思いやりで埋まることもある。キャッチコピーは、「私たちは何度もすりむいて、自分だけの“靴”をみつける。」難しくなく、心温まるハートウォーミングな映画だ。
 脚本のスザンナ・グラントは小説を映画化するにあたり「あなたを最もよく知っている人はあなたを最も傷つけることができる。けれど、あなたが傷ついているときに最も助けてくれる人でもある」と言っている。さらに「それは愛することのリスク。でも愛さないことのリスクの方が大きい。それは、孤独を意味するから」とも。そして監督のカーティス・ハンソンは「彼女たちは正反対なようでいてコインの裏表のような存在だ」と言っている。心の裏表のような存在でいつも離れずにはいられない、一緒なのに反対方向を見ているだけなのだ、とでも解釈すればよいか。鏡を多用しているのも、見えている部分と隠れている部分の対比にこだわったのかもしれない。

◎作品データ◎
『イン・ハー・シューズ』
原題:In Her Shoes
2005年アメリカ映画/上映時間:2時間11分/20世紀フォックス配給
監督:カーティス・ハンソン/製作:カーティス・ハンソン, リドリー・スコット, キャロル・フェネロン, リサ・エルジー/原作:ジェニファー・ウェイナー/脚本:スザンナ・グラント/音楽:マーク・アイシャム/撮影:テリー・ステイシー
出演:キャメロン・ディアス, トニ・コレット, シャーリー・マクレーン, マーク・フォイアスタイン, ブルック・スミス

recommend★★★★★★★☆☆☆
favorite     ★★★★★★★☆☆☆

 

 1973年、15歳のウィリアム・ミラーはサンディエゴで大学教授の母親と暮らしている。弁護士を目指す学業優秀な少年だったウィリアムだが、シスコでスチュワーデスになると言って家を出た姉が残していったロック・アルバムを聞くうちに、その世界にのめり込んでいく。ウィリアムは伝説的なロック・ライターでクリーム誌の編集長、レスター・バングスに自分が書いた学校新聞の記事を送ったところ気に入られ、会いに来たウィリアムに仕事をもらう。評論家で成功したけりゃ、正直に手厳しく書けというレスター。取材で楽屋を訪ねるウィリアムの目に入ったのは、入口にたむろするグルーピーの中に、圧倒的な存在感でひときわ目立つ少女ペニー・レインだった。彼女は、ロックスターと寝るだけのグルーピーではなく、音楽を愛してバンドを助けるバンドエイドだという。彼にとって彼女は愛らしくカッコいい存在だった。彼が目当てのバンドへの熱い思いを語ると、ギターのラッセルが楽屋に入れてくれた。まもなくラッセルとペニー・レインは付き合い始めるが、ウィリアムのペニー・レインへの淡い恋心は変らない。ある日、ローリングストーン誌の編集者が、サンディエゴの新聞記事を読んでウィリアムに原稿を依頼してきた。ウィリアムは年齢を偽り、ブレイクしそうなスティルウォーターのツアーに同行取材するという話をまとめ、怒涛の取材ツアーが始まった。張り切るウィリアムに、仲間として接してくれるラッセルは一緒に楽しむことしか考えず、裏話も書くなと言われてしまい、他のメンバーもジャーナリストは敵だという態度を崩さない。ウィリアムは独り焦っていた。刺激的な毎日を楽しむだけで、まともな取材は何ひとつできていなかった。心の支えは、ペニー・レインへの想いと、的確なアドバイスをくれるレスターの存在だった。ツアー先のNYにはラッセルの本命がおり、ペニー・レインは置いていかれてしまう。内幕暴露の刺激的な原稿になると聞いたベンはウィリアムに、スティルウォーターの表紙トップを約束する。ウィリアムは店でくつろぐメンバーにそれを発表し、誰もが有頂天になった。その時、突然ペニー・レインが現れ、追い払われてしまう。彼女のホテルに駆けつけと、足元はふらつき、部屋には蓋の開いた睡眠薬の瓶があった。
 1973年、たった15歳でローリングストーン誌のライターとしてデビューした少年、厳格な母、セックスもドラッグも知らない。ロック・ジャーナリズムになんのコネクションも持たない少年は、一体どうやって成功を収めたのか。彼の正直さに、周りの大人たちが魅了されていくのだ。常に正直であることの難しさをよくわかっているはずのフツーの歳の生活から、ロックの世界に没入していく日々の中、彼は新しい刺激をどんどん吸収していく。しかし、その澄んだ眼差しは変らない。
 製作・監督・脚本は『ザ・エージェント』の大ヒットで知られるキャメロン・クロウ。主役のウィリアムは、自分自身がモデル。何だかふんわりとシアワセな気持ち、その原点が既に15歳の彼にあった。
 ウイリアムを演じるのは、映画初出演のパトリック・フュジット。全米各地から応募してきた何百本というテープの中の1本で彼を見たクロウのイメージにぴったりだった。また、エキセントリックなまでに口うるさい母親は『ファーゴ』でアカデミー主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンド。ウィリアムに適切なアドバイスを続けるレスター・バンクスをいまや売れっ子となったフィリップ・シーモア・ホフマンが強い印象を残している。そして何といっても圧倒的な存在感、純粋さと妖艶さを併せ持つペニー・レインになりきったのは、ゴールディ・ホーンを母に持つケイト・ハドソン。2人の恋の行方を追ううちに、大切な初恋ををもう一度体験できる。
 そしてもうひとつ注目しておかなければいけないのがサイモン&ガーファンクル、ザ・フー、イエス、ロッド・スチュアート、ディープ・パープル、レッド・ツェッペリン、トッド・ラングレン、オールマン・ブラザーズ・・・・・あの時代のロックだ。キャメロン・クロウの16歳の時からの友人であるピーター・フランプトンが、テクニカル・コンサルタントを担当、ミュージシャン役の俳優たちにテクニックとスピリッツを指導、その結果、ライブシーンでは実際に聴衆の前でエキサイティングな演奏を披露するまでになった。
 ゴールデングローブ賞でミュージカル・コメディ部門の作品賞と助演女優賞(ケイト・ハドソン)、ボストン映画批評家協会賞で作品賞・監督賞・脚本賞、全米批評家協会賞で助演女優賞(フランシス・マクドーマンド)・脚本賞、LA映画批評家協会賞で助演女優賞(フランシス・マクドーマンド)と賞を総なめにしたがアカデミー賞ではノミネートどまりだった。やはり小作品としての評価しかないか。
 青春、音楽、ライター…まさにボクのためにあるような映画。贔屓があるかな。

◎作品データ◎
『あの頃ペニー・レインと』
原題:Almost Famous
2000年アメリカ映画
上映時間:2時間3分/コロンビア映画配給
監督・脚本:キャメロン・クロウ/製作:キャメロン・クロウ, イアン・ブライス/音楽:ナンシー・ウィルソン/撮影:ジョーン・トール
出演:パトリック・フェッジット, ケイト・ハドソン, ビリー・クラダップ, フランシス・マクドーマンド, フィリップ・シーモア・ホフマン

recommend★★★★★★★☆☆☆
favorite     ★★★★★★★★☆☆

おひさしぶりです、管理人の豆腐です。
このたび142日間の入院生活を経て、無事退院してきました。
まだ毎日の通院が必要ですが、ぼちぼち復活していきますので、またじゃんじゃん書き込んでください。
よろしくお願いします。