Latest Entries »

★ネタバレ注意★ストーリーあらすじすべて、結末にも触れているので観る予定のある方は注意してください

 舞台はカナダ、ケベック州。モントリオールで国語の教師をしているロランスとフレッドはおしゃれでとてもお似合いのカップル。しかし、ロランスはずっと自分の体に違和感を覚えていた。そして遂に、35歳の誕生日、フレッドに、自分はトランスジェンダー(性同一性障害)だと告白する。ロランスの告白にフレッドは激高するも、いちばんの理解者になることを決める。母親のジュリエンヌ(ナタリー・バイ)は達観の境地だ。しかし、周囲の偏見と冷淡な視線にさらされ、次第にふたりのあいだにも避けがたい葛藤と亀裂が広がり出す。女として生きていきたいと願ったロランスはスカートを身につけ、ストッキングとヒールをはいて学校へ行く。しかし学校の反応は求めていたものとは違った。ロランスは学校から解雇を言い渡される。教えることに情熱をかけるロランスは学校関係者に懇願するが認めてもらえない。偏見の固まりである、ある人物は「文章が書けるのだから、自身のことを小説にしたら?」と言う。落ち込むロランスを支えたのはもちろん恋人のフレッドだった。しかし、フレッドも限界だった。感情を顕にし、精神的にも不安定になる。やがて、ふたりには破局が訪れ、フレッドは結婚し子供を儲ける。ロランスは、文章を書くことに執着し、後に詩を書き成功を収める、若い女性と同棲する。フレッドを失った悲しみはいつも胸の奥底にあった。やがてその詩集はフレッドに贈られ、フレッドはロランスと再会することになる。ところが、喜びもつかの間、やはりふたりの溝は埋められなかった。話し合っても己の気持ちを押し付けるだけで最後はケンカになる。迷いや戸惑い、周囲の反対を乗り越えて、社会の偏見に遭いながら、ふたりはそれぞれの人生を歩むのだった。
 24歳にして長編映画を撮り上げたカナダ人監督グザヴィエ・ドランの3作品目。噂によると監督自身はゲイであるらしい。トランスジェンダーではないがある意味作品は全部自伝的な部分があると言っている。公開にあたり、漫画家のやまだないと氏が描き下ろしイラストとコメントを寄せているほか、各界のクリエイターが今作についてメッセージを寄せている。 本作は、昨年のカンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品され、高い評価を得、フレッドを演じたスザンヌ・クレマンは最優秀女優賞を受賞している。トロント国際映画祭では最優秀カナダ映画賞受賞を受賞した。ドラン監督に惚れ込んだガス・ヴァン・サント監督が全米公開時のプロデューサーを務めているのも話題。、監督・脚本・美術・衣装・編集・音楽をひとりでこなしているところも彼ならではの才気だと思う。主人公のロランスに『ぼくを葬る(おくる)』のメルヴィル・プポー、フレッドにスザンヌ・クレマン、ロランスの母親ジュリエンヌに『勝手に逃げろ/人生』『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のナタリー・バイ、フレッドの妹にモニカ・ショクリ、フレッドの母親にソフィー・フォシェ、ジャーナリストにスーザン・アームグレンが扮している。
 169分という長丁場を、まばたきするのも惜しいほどの映像美で魅せてくれた本作品は、80年代90年代のファッション、カルチャー、音楽をふんだんに取り入れている。ザ・キュアー、デュランデュラン、デペッシュモード、ヴィサージ、ザ・ブルーナイル、などなど、ニューウェイブからオルタナティヴロックまで、グッとくるラインナップが散りばめられている。ロランス目線のショットの多用と、揺れ動き、ときには疾走するカメラワークは時に冗漫なシーンも飽きさせない。暴発寸前のふたりの痛ましいほどの感情の軋みをそのまま体現しているかのように感じさせるカメラワークだった。突然、ベートーベンが鳴り響き、居間のソファーの上に豪雨が降り注ぐかと思えば、空からカラフルな衣服が落ちてくる意表を突くシーンも、スタイリッシュで、奇をてらったものではなく、周到で綿密に計算された華麗なオペラ演出を見ているような感覚が残る。監督の手腕は誠実であり、緻密だった。
 前評判が高く、たくさんの方から奨められて観てみて、まずは音楽・映像・ファッションのスタイリッシュさに一気に引き込まれていった。ただそのスタイリッシュさはこの主人公のようなライフスタイルを表現するのに必要な要素という意味で、ストーリー全体から言えば、スタイリッシュというより官能美かも知れない。結局は壮大なラブストリーだ。しかし、ラブストーリーでありながら、「愛」の定義がややこしい。ストーリーの紹介部分でボクは「自分はトランスジェンダー(性同一性障害)だと告白する」と書いた。しかし、ロランスはひとことも、「トランスジェンダー」とも「性同一性障害」とも言っていない、ただ「自分は女だから女になりたい」と言っていただけだ。女性の服装も着るし化粧もする。でもフレッドが用意したカツラは決して被らない。カツラはロランスにとっての他人のごまかす嘘の表現に過ぎず、自分の中での女らしさの表現ではない。そのうえ、ロランスがパートナーに選ぶのはいつも女性。漫画家のやまだないと氏がこの映画を「おとこにうまれたから、おんなのひとを愛するんだろうか。おんなにうまれたから、おとこのひとを愛するんだろうか」と評した。素朴な疑問だが、セクシュアルマイノリティの当事者以外の人は、このあたりで混乱が始まるのだろう。ボクも同性愛者ではあるがトランスではないのでわかる部分とわかりにくい部分がある。性転換者が転換後の性のひとをパートナーの対象に選ぶというのはざらにある。男性から女性へのトランスジェンダーで女性になってレズビアンになったの、と説明するひともいる。性の多様性が社会に受け入れられていれば問題はない。ただ、ロランスは見てくれの表現は女性にこだわったけれど、恋愛対象においては性という壁カテゴリーを超えてしまったのだと思う。カテゴライズから抜け出てしまった。何度かの再会のうち、最後にロランスとフレッドはお互いにまだ愛し合っていることを確認し合うが、フレッドはロランスに「地上に戻ってきてよ」と言う。ロランスはこう答えた。「地上に? せっかくここまで・・・」と。愛し合っていても時空を共有できないから、一緒にいられないのだ。しかし、フレッドは違った。再会して抱き合うシーンでもフレッドの胸と局部を確認した。最後のふたりのシーンの後、ラスト、シーンは出会いに遡る。フレッドに声をかけてきた男らしい男性が名前を「ロランス・アリア」と名乗る。そこで、フレッドは満面の笑みを浮かべる。フレッドは明らかに男であるロランスを求めていたのだ。フレッドの場合、告白の時点で破局するべきだっと思う。ロランスは最初は男だったからフレッドを好きになったのかもしれないが、自分がどうしても女になりたいのと、フレッドを愛する理由は「男」でなければいけない理由はひとつもない。
 またこの映画に写真家の大橋仁氏が「誰もが各々の出方を伺いながら生き形作られる世の中、黙ってひっそりと他人に迷惑をかけない人生を送る事が調和だと誰もが言い聞かせ合っている。そんなものは調和ではない、鎖だ。牽制し合う鎖つきの調和などいらない、ぶつかり合う調和が欲しい。この映画を見てそう思った」と寄せた。まさにこの映画はぶつかり合いながら調和しようとしていた。このふたりはぶつかり合いながら「愛」を貫き通そうとした。ふたりの見ているそれぞれの「愛」の貌は違うのに「愛」への強烈な想いだけが重なり合っていた。愛する思いが強すぎるために貪欲に見返りを求めてしまう。そんなふたりの不器用な生き方はとても人間的で哀しい。
 この映画を観てかなり胸が苦しくなった。いい映画だと強く感じたが、セクシュアルマイノリティ当事者のボクが観ると、自分をさらけ出すことはこうしてひとつの騒ぎを起こしまわりのひとを巻き込み不幸にする可能性が高く、ひとに何か難儀なものを強制的にさせることになるのだということを痛感してしまうからだ。他者の目を介して困難に直面するなかで、他者への愛と自分自身への愛。どちらも損なわずに生きていくことは果たして可能なのかという問いに直面し、葛藤する。葛藤の描写がこの映画の非凡さだと思う。葛藤は、もの哀しげなのにどこか幸せ、耽美として観る側に印象を与えていく。

◎作品データ◎
『わたしはロランス』
原題:Laurence Anyways
2012年カナダ・フランス合作映画/上映時間:2時間48分/アップリンク配給
監督・脚本:グザヴィエ・ドラン/製作:リズ・ラフォンティーヌ/音楽:ノイア/撮影:イヴ・ベランジェ
出演:メルヴィル・プポー, ナタリー・バイ, スザンヌ・クレマン, モニカ・ショクリ, スージー・アームグレン

recommend★★★★★★★★☆☆
favorite ★★★★★★★★☆☆

日米のアカデミー賞の結果が出たので予想の答え合わせです(笑)。興味のない方はスルーしてくださいね。◎は本命、○が対抗、▲大穴でした。無印はノーマークです。

第85回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『アルゴ』
【監督賞】 ○アン・リー『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
【主演男優賞】 ○ダニエル・デイ=ルイス『リンカーン』
【主演女優賞】 ○ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』
【助演男優賞】 ◎クリストフ・ヴァルツ『ジャンゴ/繋がれざる者』
【助演女優賞】 ○アン・ハサウェイ『レ・ミゼラブル』
【長編アニメ賞】 ▲『メルダとおそろしの森』
【外国語映画賞】 ◎『愛、アムール』(オーストリア)
【オリジナル脚本賞】 ◎クエンティン・タランティーノ『ジャンゴ/繋がれざる者』
【脚色賞】 ○クリス・テリオ『アルゴ』
【美術賞】 ▲リック・カーター他『リンカーン』
【撮影賞】 ◎クラウディア・ミランダ『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
【衣装デザイン賞】 ◎ジャクリーヌ・デュラン『アンナ・カレーニナ』
【編集賞】 ○ウィリアム・ゴールデンバーグ『アルゴ』
【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】 ○リサ・ウェストコット『レ・ミゼラブル』
【作曲賞】 ○マイケル・ダナ『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
【オリジナル歌曲賞】 ◎Skyfall『007/スカイフォール』
【音響賞/録音賞】 ○アンディ・ネルソン他『レ・ミゼラブル』
【音響編集賞】 ◎パー・ハルバーグ他『007/スカイフォール』 ○ポール・N・J・オットソン『ゼロ・ダーク・サーティ』(同票)
【視覚効果賞】 ◎ビル・ウェステンホファー他『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
【ドキュメンタリー賞】 ○『シュガーマン/奇跡に愛された男』
【ドキュメンタリー短編賞】 ○『Inocente』
【実写短編賞】 ○『Curfew』
【短編アニメ賞】 ○『Paperman』

第36回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】 ○『桐島、部活やめるってよ』
【最優秀アニメーション作品賞】 ◎『おおかみおとこの雨と雪』
【最優秀監督賞】 ○吉田大八『桐島、部活やめるってよ』
【最優秀脚本賞】 ◎内田けんじ『鍵泥棒のメソッド』
【最優秀主演男優賞】 ○阿部寛『テルマエ・ロマエ』
【最優秀主演女優賞】 ◎樹木希林『わが母の記』
【最優秀助演男優賞】 ▲大滝秀治『あなたへ』
【最優秀助演女優賞】  余貴美子『あなたへ』
【最優秀音楽賞】 ▲川井郁子『北のカナリアたち』
【最優秀撮影賞】 ○木村大作『北のカナリアたち』
【最優秀照明賞】 ◎杉本崇『北のカナリアたち』
【最優秀美術賞】 ○磯田典宏, 近藤成之『のぼうの城』
【最優秀録音賞】 ○橋本文雄『聯合艦隊司令長官 山本五十六』
【最優秀編集賞】 ▲日下部元孝『桐島、部活やめるってよ』
【外国作品賞】 ○『最強のふたり』

ということで、ものすごく当たった感じもないけど、ノーマークだったのは余貴美子だけだったんで、ま、いっか(笑)。

さ、例によって日米のアカデミー賞の予想です。映画観てもいないくせによくやるよねぇ(笑)。興味のない方はスルーしてくださいね。◎は本命、○が対抗、▲大穴です。

第85回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『アルゴ』 ○『レ・ミゼラブル』 ▲『ゼロ・ダーク・サーティ』
【監督賞】 ◎スティーヴン・スピルバーグ『リンカーン』 ○アン・リー『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 ▲ベン・ザイトリン『ハッシュパピー/バスタブ島の少女』
【主演男優賞】 ◎ホアキン・フェニックス『ザ・マスター』 ○ダニエル・デイ=ルイス『リンカーン』 ▲ブラッドリー・クーパー『世界にひとつのプレイブック』
【主演女優賞】 ◎ジェスか・チャスティン『ゼロ・ダーク・サーティ』 ○ジェニファー・ローレンス『世界にひとつのプレイブック』 ▲アマニュエル・リヴァ『愛、アムール』
【助演男優賞】 ◎クリストフ・ヴァルツ『ジャンゴ/繋がれざる者』 ○フィリップ・シーモア・ホフマン『ザ・マスター』 ▲アラン・アーキン『アルゴ』
【助演女優賞】 ◎エイミー・アダムス『ザ・マスター』 ○アン・ハサウェイ『レ・ミゼラブル』 ▲サリー・フィールド『リンカーン』
【長編アニメ賞】 ◎『シュガーラッシュ』 ○『フランケンウィニー』 ▲『メルダとおそろしの森』
【外国語映画賞】 ◎『愛、アムール』(オーストリア) ○『KonTiki』(ノルウェー) ▲『ロイヤル・アフェアー/愛と欲望の王国』(デンマーク)
【オリジナル脚本賞】 ◎クエンティン・タランティーノ『ジャンゴ/繋がれざる者』 ○マーク・ポール『ゼロ・ダーク・サーティ』 ▲ミヒャエル・ハネケ『愛、アムール』
【脚色賞】 ◎グリーグ・フレイザー『リンカーン』 ○クリス・テリオ『アルゴ』 ▲デヴィッド・O・ラッセル『世界にひとつのプレイブック』
【美術賞】 ◎サラ・グリーンウッド『アンナ・カレーニナ』 ○イヴ・スチュワート『レ・ミゼラブル』 ▲リック・カーター他『リンカーン』
【撮影賞】 ◎クラウディア・ミランダ『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 ○ロジャー・ディーキンズ『』007/スカイフォール ▲シーマス・マッガーベイ『アンナ・カレーニナ』
【衣装デザイン賞】 ◎ジャクリーヌ・デュラン『アンナ・カレーニナ』 ○パコ・デルカド『レ・ミゼラブル』 ▲コーリン・アトウッド『スノー・ホワイト』
【編集賞】 ◎ウィリアム・ゴールデンバーグ他『ゼロ・ダーク・サーティ』 ○ウィリアム・ゴールデンバーグ『アルゴ』 ▲マイケル・カーン『リンカーン』
【メイクアップ&ヘアスタイリング賞】 ◎ピーター・スウォーズ・キング『ホビット/思いがけない冒険』 ○リサ・ウェストコット『レ・ミゼラブル』 ▲ハワード・バーガー他『ヒッチコック』
【作曲賞】 ◎ジョン・ウィリアムズ『リンカーン』 ○マイケル・ダナ『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 ▲アレクサンドラ・デスプラ『アルゴ』
【オリジナル歌曲賞】 ◎Skyfall『007/スカイフォール』 ○Suddenly『レ・ミゼラブル』 ▲Pi’s Lullaby『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』
【音響賞/録音賞】 ◎スコット・ミラン他『007/スカイフォール』 ○アンディ・ネルソン他『レ・ミゼラブル』 ▲ジョン・レイツ他『アルゴ』
【音響編集賞】 ◎パー・ハルバーグ他『007/スカイフォール』 ○ぽーる・N・J・オットソン『ゼロ・ダーク・サーティ』 ▲ワイリー・ステイトマン『アルゴ』
【視覚効果賞】 ◎ビル・ウェステンホファー他『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』 ○ジョー・レッテリ他『ホビット/思いがけない冒険』 ▲セドリック・ニコラス・トロヤン『スノーホワイト』
【ドキュメンタリー賞】 ◎『The Gatekeepers』 ○『シュガーマン/奇跡に愛された男』 ▲『How to Survive a Plague』
【ドキュメンタリー短編賞】 ◎『Open Heart』 ○『Inocente』 ▲『Rademption』
【実写短編賞】 ◎『Buzkashi Boys』 ○『Curfew』 ▲『Asad』
【短編アニメ賞】 ◎『Maggie Simpson in “The Longest Daycare』 ○『Paperman』 ▲『Adam and Dog』

第36回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】 ◎『わが母の記』 ○『桐島、部活やめるってよ』 ▲『北のカナリアたち』
【最優秀アニメーション作品賞】 ◎『おおかみおとこの雨と雪』 ○『ももへの手紙』 ▲『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
【最優秀監督賞】 ◎原田眞人『わが母の記』 ○吉田大八『桐島、部活やめるってよ』 ▲降旗康男『あなたへ』
【最優秀脚本賞】 ◎内田けんじ『鍵泥棒のメソッド』 ○喜安浩平, 吉田大八『桐島、部活辞めるってよ』 ▲原田眞人『わが母の記』
【最優秀主演男優賞】 ◎森山未来『苦役列車』 ○阿部寛『テルマエ・ロマエ』 ▲堺雅人『鍵泥棒のメソッド』
【最優秀主演女優賞】 ◎樹木希林『わが母の記』 ○草刈民代『終の信託』 ▲吉永小百合『北のカナリアたち』
【最優秀助演男優賞】 ◎森山未来『北のカナリアたち』 ○香川照之『鍵泥棒のメソッド』 ▲大滝秀治『あなたへ』
【最優秀助演女優賞】 ◎宮崎あおい『わが母の記』 ○広末涼子『鍵泥棒のメソッド』 ▲浦島ひかり『北のカナリアたち』
【最優秀音楽賞】 ◎冨貴晴美『わが母の記』 ○林祐介『あなたへ』 ▲川井郁子『北のカナリアたち』
【最優秀撮影賞】 ◎芦澤明子『わが母の記』 ○木村大作『北のカナリアたち』 ▲林淳一郎『あなたへ』
【最優秀照明賞】 ◎杉本崇『北のカナリアたち』 ○永田英則『わが母の記』 ▲中村裕樹『あなたへ』
【最優秀美術賞】 ◎原田光生『テルマエ・ロマエ』 ○磯田典宏, 近藤成之『のぼうの城』 ▲原田光生『北のカナリアたち』
【最優秀録音賞】 ◎志満順一『北のカナリアたち』 ○橋本文雄『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 ▲松本昇和, 矢野正人『わが母の記』
【最優秀編集賞】 ◎原田遊人『わが母の記』 ○普嶋信一『北のカナリアたち』 ▲日下部元孝『桐島、部活やめるってよ』
【外国作品賞】 ◎『アルゴ』 ○『最強のふたり』 ▲『007/スカイフォール』

と、予想してみました。アメリカのアカデミー賞は、作品賞を獲りそうだと思う作品の監督が監督賞に誰もノミネートされていないのが非常に不安要素。今年は予想の他に獲って欲しい希望も加味したので、いつもより正解率下がるかなと。

アカデミー賞の発表は2月24日、日本アカデミ賞の発表は3月8日です。お楽しみに。

日米のアカデミー賞の結果が出たので、ボクの予想とどれくらいずれたかご報告です。ボクの予想は◎が本命と予想したもの、○が対抗、▲が大穴でした。

第84回アカデミー賞

【作品賞】○『アーティスト』

【監督賞】○ミシェル・アザナヴィシウス『アーティスト』

【主演男優賞】○ジャン・デュダルジャン『アーティスト』

【主演女優賞】○メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

【助演男優賞】◎クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』

【助演女優賞】○オクタヴィア・L・スペンサー『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』

【オリジナル脚本賞】○ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』

【脚色賞】○アレクサンダー・ペイン, ナット・ファクソン, ジム・ラッシュ『ファミリー・ツリー』

【外国語映画賞】◎『別離』(イラン) 

【長編アニメーション映画賞】◎『ランゴ』

第35回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】○『八日目の蝉』

【最優秀アニメーション作品賞】◎『コクリコ坂から』

【最優秀監督賞】▲成島出『八日目の蝉』

【最優秀脚本賞】○奥寺佐渡子『八日目の蝉』

【最優秀主演男優賞】◎原田芳雄『大鹿村騒動記』

【最優秀主演女優賞】◎井上真央『八日目の蝉』

【最優秀助演男優賞】◎でんでん『冷たい熱帯魚』

【最優秀助演女優賞】◎永作博美『八日目の蝉』

【最優秀外国作品賞】◎『英国王のスピーチ』

というわけで、近年稀に見る外れ方でしたが、まあ、あんまし映画観ていないからなぁ、っていうのが実感です。作品賞監督賞を両方とも外したのが結構ショックです(笑)。今後、この結果を踏まえて、これらの映画を堪能しようと思います。

今日は、例によって日米のアカデミー賞のボクの予想です。◎が本命、○が対抗、▲が大穴です。興味のない方はスルーしてくださいね。

第84回アカデミー賞

【作品賞】 ◎『ファミリー・ツリー』 ○『アーティスト』 ▲『ツリー・オブ・ライフ』
【監督賞】 ◎テレンス・マリック『ツリー・オブ・ライフ』 ○ミシェル・アザナヴィシウス『アーティスト』 ▲アレクサンダー・ペイン『ファミリー・ツリー』
【主演男優賞】 ◎ジョージ・クルーニー『ファミリー・ツリー』 ○ジャン・デュダルジャン『アーティスト』 ▲ブラッド・ピット『マネーボール』
【主演女優賞】 ◎ミシェル・ウィリアムズ『マリリン 7日間の恋』 ○メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』 ▲ヴィオラ・デイビス『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』
【助演男優賞】 ◎クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』 ○マックス・フォン・シドー『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 ▲ニック・ノルティ『ウォーリアー』
【助演女優賞】 ◎ジェシカ・チャステイン『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』 ○オクタヴィア・L・スペンサー『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』 ▲メリッサ・マッカーシー『ブライズメイズ』
【オリジナル脚本賞】 ◎アスガー・ファルハディ『別離』 ○ウディ・アレン『ミッドナイト・イン・パリ』 ▲ミシェル・アザナヴィシウス『アーティスト』
【脚色賞】 ◎スティーブン・ザイリアン, アーロン・ソーキン『マネーボール』 ○アレクサンダー・ペイン, ナット・ファクソン, ジム・ラッシュ『ファミリー・ツリー』 ▲ブリジット・オコナー, ピーター・ストローハン『裏切りのサーカス』
【外国語映画賞】 ◎『別離』(イラン) ○『ムッシュー・ラザール』(カナダ) ▲『フットノート』(イスラエル)
【長編アニメーション映画賞】 ◎『ランゴ』 ○『長くつをはいたネコ』 ▲『カンフー・パンダ2』

第35回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】 ◎『大鹿村騒動記』 ○『八日目の蝉』 ▲『探偵はBARにいる』
【最優秀アニメーション作品賞】 ◎『コクリコ坂から』 ○『映画「けいおん!」』 ▲『名探偵コナン 沈黙の15分(クウォーター)』
【最優秀監督賞】 ◎新藤兼人『一枚のハガキ』 ○阪本順治『大鹿村騒動記』 ▲成島出『八日目の蝉』
【最優秀脚本賞】 ◎荒木晴彦・阪本順治『大鹿村騒動記』 ○奥寺佐渡子『八日目の蝉』 ▲三谷幸喜『ステキな金縛り』
【最優秀主演男優賞】 ◎原田芳雄『大鹿村騒動記』 ○三浦友和『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』 ▲堺雅人『武士の家計簿』
【最優秀主演女優賞】 ◎井上真央『八日目の蝉』 ○宮崎あおい『ツレがうつになりまして。』 ▲長澤まさみ『モテキ』
【最優秀助演男優賞】 ◎でんでん『冷たい熱帯魚』 ○松田龍平『探偵はBARにいる』 ▲伊勢谷友介『あしたのジョー』
【最優秀助演女優賞】 ◎永作博美『八日目の蝉』 ○小池栄子『八日目の蝉』 ▲満島ひかり『一命』
【最優秀外国作品賞】 ◎『英国王のスピーチ』 ○『ソーシャル・ネットワーク』 ▲『ブラック・スワン』

と予想しました。あんまり映画観てないくせによくやるよね。米国アカデミー賞は2月27日、日本アカデミー賞は3月2日発表です。お楽しみに。

今日は、昨日発表になった第83回になる米アカデミー賞の結果を復習です。◎が獲ると予想したもの、○が対抗と予想したものです。

第83回アカデミー賞

【作品賞】 ◎「英国王のスピーチ」
【長編アニメーション作品賞】 ◎「トイ・ストーリー3」
【監督賞】 ○トム・フーパー「英国王のスピーチ」
【オリジナル脚本賞】 ◎「英国王のスピーチ」
【脚色賞】 ◎「ソーシャル・ネットワーク」
【主演男優賞】 ◎コリン・ファース「英国王のスピーチ」
【主演女優賞】 ○ナタリー・ポートマン「ブラック・スワン」
【助演男優賞】 ◎クリスチャン・ベール「ザ・ファイター」
【助演女優賞】 ◎メリッサ・レオ「ザ・ファイター」
【外国語映画賞】 ◎「イン・ア・ベター・ワールド」(デンマーク)

なかなかの結果で満足しています。監督賞と主演女優賞が少しずれましたが、これも、敢えて冒険した感じで触れていたことなのでとてもよかったと思っています。まあ、競馬予想みたいなもんです(汗)。自己満足で赦してください。

さあ、明日はアメリカのアカデミー賞の発表があります。またボクの余分な作業につきあってくださいね。予想です。

第83回アカデミー賞

【作品賞】

◎「英国王のスピーチ」 ○「ソーシャル・ネットワーク」 ▲「ザ・ファイター」  他の作品賞ノミネート…「ブラック・スワン」「インセプション」「キッズ・オールライト」「127時間」「トイ・ストーリー3」「トゥルー・グリット」「ウィンターズ・ボーン」

【長編アニメーション作品賞】

◎「トイ・ストーリー3」 ○「ヒックとドラゴン」 ▲「イリュージョネスト」

【監督賞】

◎デイビッド・フィンチャー「ソーシャル・ネットワーク」 ○トム・フーパー「英国王のスピーチ」 ▲デヴィッド・O・ラッセル「ザ・ファイター」  他の監督賞ノミネート…ダーレン・アロノフスキー「ブラック・スワン」 ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン「トゥルー・グリット」

【オリジナル脚本賞】

◎「英国王のスピーチ」 ○「キッズ・オーライト」 ▲「ザ・ファイター」  他のオリジナル脚本賞ノミネート「アナザー・イヤー」「インセプション」

【脚色賞】

◎「ソーシャル・ネットワーク」 ○「127時間」 ▲「トゥルー・グリット」  他の脚色賞ノミネート…「トイ・ストリー2」「ウィンター図・ボーン」

【主演男優賞】

◎コリン・ファース「英国王のスピーチ」 ○ジェシー・アイゼンバーグ「ソーシャル・ネットワーク」 ▲ハビエル・バルデム「ビューティフル」  他の主演男優賞ノミネート…ジェフ・ブリッジス「トゥルー・グリット」 ジェームズ・フランコ「127時間」

【主演女優賞】

◎アネット・べにング「キッズ・オールライト」 ○ナタリー・ポートマン「ブラック・スワン」 ▲ミシェル・ウィリアムズ「ブルーバレンタイン」  他の主演女優賞ノミネート…二コール・キッドマン「ラビット・ホール」 ジェニファー・ローレンス「ウィンターズ・ボーン」

【助演男優賞】

◎クリスチャン・ベール「ザ・ファイター」 ○マーク・ラファロ「キッズ・オールライト」 ▲ジェフリー・ラッシュ「英国王のスピーチ」  他の助演男優賞ノミネート…ジョン・ホークス「ウィンターズ・ボーン」 ジェレミー・ラナー「ザ・タウン」

【助演女優賞】

◎メリッサ・レオ「ザ・ファイター」 ○ヘレナ・ボナム・カーター「英国王のスピーチ」 ▲エイミー・アダムス「ザ・ファイター」  他の助演女優賞ノミネート…ヘイリー・スタンフェルド「トゥルー・グリット」 ジャッキー・ウィーヴァー「アニマル・キンダム」

【外国語映画賞】

◎「In A Better World」(デンマーク) ○「ビューティフル」(メキシコ) ▲「Incendies」(カナダ)  他の外国映画賞ノミネート…「Dogtooth」(ギリシャ) 「Hors La Loi」(アルジェリア)

今回は、「ソーシャル・ネットワーク」と「英国王のスピーチ」の一騎打ちです。オーソドックスなアカデミー会員の作品選びだと「英国王のスピーチ」。時代の流れと勢いからいくと「ソーシャル・ネットワーク」です。イギリス作品ということも考えると「ソーシャル・ネットワーク」の可能性が大かな。そんなわけで、監督賞と作品賞で分けて考えてみました。演技陣はほぼ決まっている気がしますが、主演女優はホントは多分ナタリー・ポートマンが獲ると思うけれど、希望を込めてそろそろあげたいアネット・べニングにしました。今回の冒険はそのくらいです。

では、明日の発表を楽しみに。

先日の日本アカデミー賞の結果を復習しておきます。

第34回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】 ○「告白」

【最優秀アニメーション作品賞】 ◎「借りぐらしのアリエッティ」

【最優秀監督賞】 ◎中島哲也「告白」

【最優秀脚本賞】 ○中島哲也「告白」

【最優秀主演男優賞】 ◎妻夫木聡「悪人」

【最優秀主演女優賞】 ◎深津絵里「悪人」

【最優秀助演男優賞】 ◎柄本明「悪人」

【最優秀助演女優賞】 樹木希林「悪人」

【最優秀外国作品賞】 ▲「アバター」

樹木希林のノーマークを除けば結構いい成績でしたね。ちなみにボクが本命と予想したのが◎、対抗と予想したのが○、大穴と予想したのが▲です。

何でこんなことをやっているのかというと、映画に精通していますよというアピールでもあります。でも、多分真意は違っていて、それは、自分の映画の評価と、日本映画界の評価の比較をしながら、それを予想することで、自分が社会をどれだけ普通に客観視出来ているのか、自分の本当の評価とそれがどれくらいずれていて、そこをちゃんとわかっているかを、こういうところで確認しているんですよね。とても馬鹿なことをやっているようにみんなには映るのかな。

多分、ボクの特殊な部分は自分がいちばん差別していて勝手に被害者意識を持っているのかもしれません。特殊な感覚で、一般社会に存在すること、そのためにこういう咀嚼が必要な気がしているんですよね。

まあ、今回かなり予想が当たったので、自分は社会の感覚や評価に馴染んでいるのかな、なんて思ったりしています。

このおかしな作業を、アメリカのアカデミー賞でも、やってみるので、またみなさん、付き合ってくださいね。

ずいぶんご無沙汰しました。全然映画観てないです。あはは。

今日は、今週金曜日の「日本アカデミー賞」の発表まで、今日しか書けるときがなさそうなので急遽アップすることにしました。ボクは何だか毎年日米のアカデミー賞を予想し続けて来ているんですよね。多分何十年と。去年の今頃から劇場ではほとんど観ていないくせに、大胆にも、下馬評と他の映画賞の実績と話題性と勘だけで今年も予想をしようとしているわけです。いつも同時に日米の予想をしてブログアップしていますが、今日はとりあえず差し迫っている「日本アカデミー賞」の方を予想してみます。興味のない方はすっとばしてくださいね。ちなみに◎がボクの予想する本命、○が対抗、▲が大穴です。ノーマークはボクの中での予想外ということになります。

第34回日本アカデミー賞

【最優秀作品賞】
◎「悪人」 ○「告白」 ▲「十三人の刺客」  他の優秀作品賞…「おとうと」「孤高のメス」

【最優秀アニメーション作品賞】
◎「借りぐらしのアリエッティ」 ○「カラフル」 ▲「名探偵コナン/天空の難破船」  他の優秀アニメーション作品賞…「映画ドラえもん/のび太の人魚大海戦」「ワンピースフィルム/ストロングワールド」

【最優秀監督賞】
◎中島哲也「告白」 ○三池崇史「十三人の刺客」 ▲李相日「悪人」  他の優秀監督賞…成島出「孤高のメス」 山田洋次「おとうと」

【最優秀脚本賞】
◎吉田修一・李相日「悪人」 ○中島哲也「告白」 ▲天願大介「十三人の刺客」  他の優秀作品賞…加藤正人「孤高のメス」 山田洋次・平松恵美子「おとうと」

【最優秀主演男優賞】
◎妻夫木聡「悪人」 ○豊川悦史「必死剣鳥刺し」 ▲堤真一「孤高のメス」  他の優秀主演男優賞…笑福亭鶴瓶「おとうと」 役所広司「十三人の刺客」

【最優秀主演女優賞】
◎深津絵里「悪人」 ○寺島しのぶ「キャタピラー」 ▲松たか子「告白」  他の優秀主演女優賞…薬師丸ひろ子「今度は愛妻家」 吉永小百合「おとうと」

【最優秀助演男優賞】
◎柄本明「悪人」 ○石橋蓮司「今度は愛妻家」 ▲吉川晃司「必死剣鳥刺し」  他の優秀助演男優賞…岡田将生「悪人」 岡田将生「告白」

【最優秀助演女優賞】
◎満島ひかり「悪人」 ○木村佳乃「告白」 ▲夏川結衣「孤高のメス」  他の優秀助演女優賞…蒼井優「おとうと」 樹木希林「悪人」

【最優秀外国作品賞】
◎「インビクタス/負けざる者たち」 ○「ハートロッカー」 ▲「アバター」  他の優秀外国作品賞「インセプション」「トイ・ストーリー3」

ってな感じで。日本アカデミー賞の場合、作品賞受賞作が俳優部門も技術部門も総なめにする風潮が強いので、ひとつ当たらないとみんな当たらないことも。今回は「悪人」「告白」が有力だと思うけれど、日本アカデミー賞はノスタルジーをそそるドラマや壮大なスペクタクルや時代劇が強いので「十三人の刺客」の可能性もあり、常連の山田洋次組「おとうと」になってしまう可能性も。ちょっと「悪人」や「告白」はアクが強いので。主演男優・主演女優は外した俳優さんがキャリアのある人たちなので、獲る可能性もあって、全然わかんないっす。個人的には下馬評からすると「悪人」か「告白」が受賞するのが妥当だと思っている。監督賞は日本人に獲らせたい風潮が強いみたいなので敢えて李相日監督は少し下げさせてもらった。前に崔洋一監督が受賞してないことからもその辺が伺える。主演女優賞はベルリン映画祭で主演女優賞を獲得した寺島しのぶと、モントリオール映画祭で主演女優賞を受賞した深津絵里との一騎打ちと見た。寺島しのぶの方に分がありそうに思うけれど、まだ主演女優賞の受賞経験がない深津絵里にあげたくて願望も込めて本命に。同様に主演男優賞は、妻夫木聡にあげたくて本命にした。豊川悦史の方が分があるかも。堤真一・役所広司も評判は良く、笑福亭鶴瓶は昨年「ディア・ドクター」で本命視されていて受賞を逃しているから、誰が取ってもおかしくない。ここは、受賞歴のある堤真一・役所広司にはちょっと休んでもらって、なかなか受賞できない妻夫木聡か豊川悦史にあげたいですね。助演も少し不安だけど、男優は多分柄本明、女優は満島ひかり・木村佳乃のどちらかだと思う。あと、外国語作品賞は「ハートロッカー」が順当な感じだけど、興業を重視すると「アバター」、クリント・イーストウッドの異様なまでの日本人の評価の高さからすると「インビクタス」もありうるということで、今回は敢えて冒険で「インビクタス」にしてみた。

ずいぶん、講釈垂れてみました。たまには娯楽を楽しませてくださいね、って感じで。暇があって、気が向いた方方は、金曜日、予想が当たるか外れるか、楽しみに見てやってください。

 ニューヨークのウエスト・サイドは不良少年たちの巣食うスラム街と化していた。イタリア系アメリカ人の少年たちで構成されているジェット団は、最近幅を利かせ始めているプエルトリコ系アメリカ人のシャーク団と敵対関係にあった。一触即発の状況が続くある夜、中立地帯であるダンスホールで顔を合わせることになった。きっかけさえあれば今にも爆発しそうな空気のなか、初めてのダンスパーティに期待で胸を弾ませていたマリアは、そこでトニーという男性に出会い、恋に落ちてしまった。2人はキスを交わした。しかし、マリアがシャーク団のリーダーであるベルナルドの妹であり、トニーが以前ジェット団のリーダーだったため、二人の恋は危ういものだった。しかし、ジェット団とシャーク団はついに衝突を始め、マリアの必死の願いにトニーは両者の間に飛びこんで行ったが、血気にはやる彼らはトニーの言葉に耳をかそうとはしなかった。そしてリフはベルナルドに刺されて死んでしまった。親友リフの死に我を忘れたトニーは今度はベルナルドを殺してしまう。ベルナルドの恋人アニタに責められてもトニーを忘れられないマリアは、トニーの高飛びに同意するのだった。シャーク団のチノはベルナルドの仇を打とうとトニーをつけ狙い、警察の手ものびてくるように。アニタはマリアの愛の深さを知り、トニーと連絡をとるために街へ出ていく。しかし、ジェット団に倒された怒りからマリアはチノに殺されたと嘘をついてしまう。絶望して夜の町へ飛び出したトニーの前へ拳銃を構えたチノが現れた。急を聞いて来たマリアの腕の中で、トニーは絶命するのだった。
 ブロードウェイ・ミュージカルの70ミリによる映画化。「ロミオとジュリエット」を現代化したラブロマンスを縦系にして現代の青春悲劇をリアルに描いた作品。ニューヨークから世界中に熱狂と興奮を巻き起こしたコノミュージカルは、ジョージ・チャキリスの助演男優賞を始め、1961年度アカデミー賞の10部門を独占。映画史上屈指の名作として世界が認める悲しい恋の物語だ。
 原作は「旅情」の作者アーサー・ローレンツ、脚色をアーネスト・リーマンが担当、監督は『拳銃の報酬』のロバート・ワイズと振付も兼ねているジェローム・ロビンスの共同。撮影は『5つの銅貨』のダニエル・L・ファップ。画面構成にタイトルをデザインしたソール・バスが一役加わっている。音楽は『踊る大紐育』『波止場』のレナード・バーンスタイン。出演者はナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ラス・タンブリンなど。製作はロバート・ワイズ。
 前回、100作目のレビューを終えてから、屈辱のブログ閉鎖を強いられ、いつか再開するときは101作目は『ウエスト・サイド物語』にしようと決めていた。正直、筋書きは定石通りでありきたり。斬新な感じは何もない。しかし、冒頭から次々と繰り広げられるダンスシーンは勢いがあり、そこに若者特有の危うさと脆さがある。映画芸術として総合的に見ると、エンターテインメントとして大きな力があり、どんどん引き込まれる。
 吹き替えについては、問題も多かった。主役級の俳優たちの歌は大部分が吹き替えられており、吹き替えの歌手の名前は、現在でこそ反映されているが、当時は映画でもサウンドトラックアルバムでもクレジットされていなかった。特に大きな問題となったのはナタリー・ウッドの吹き替えで、彼女は自分の声が使われると信じて撮影を行っていた。しかし、裏ではマーニ・ニクソンによる吹き替えが決められていて、撮影終了後に激怒したと伝えられている。編集者など多くが自己の利益を求めて訴訟を起こしている。他にもアニタの吹き替えを担当したワンドも訴訟を起こし、サウンドトラックの売り上げの一部を受け取ることで和解している。
 今、見返してみると、人種差別やいじめ問題の警告のようにも取れてしまう。若い時は無茶をしたもんだよな、と自分の青春を振り返ってみたり、感慨に更ける部分は多い。しかし、前述したようにストーリーはお決まり、結末も予感でき、結局はこの映画のエンターテインメント性や芸術性に論評は落ち着く。ミュージカルが嫌いと言ったらそれまで。この映画の良さは、その芸術性が、我々の実生活に密着して感じられるとこだ。当時の衝撃はよほど計り知れなっただろうと想像される。少なくとも映画評と称してブログを書くのなら、この作品が出てこないのはおかしい、と言えるほど、映画界に激震を与えた作品だ。ダンスや音楽を、ただただ堪能してほしいと思うばかりの1作。

◎作品データ◎
『ウエスト・サイド物語』
原題:West Side Story
1961年アメリカ映画/上映時間:2時間32分/ユナイテッドアーティスツ配給
監督:ロバート・ワイズ, ジェローム・ロビンス/原作:アーサー・ローレンツ/脚本:アーネスト・リーマン/製作:ロバート・ワイズ/音楽:レナード・バーンスタイン/撮影:ダニエル・L・ファップ
出演:ナタリー・ウッド, リチャード・べイマー, ジョージ・チャキリス, リタ・モレノ, ラス・タンブリンカーン

recommend★★★★★★★★☆☆
favorite       ★★★★★★☆☆☆☆