高級車のディーラーをしているチャーリーは、幼い頃に母親を亡くし、厳格な父に育てられたチャーリー。父親の真の愛情に気付くことなく、憎しみだけを抱いたまま家を飛び出した。そんなある日、彼のもとにのもとに父の訃報が届いた。恋人のスザンナを連れ遺産目当てに故郷にかえったチャーリーは、遺産のすべてが、会ったこともない自閉症の兄レイモンドのものになると知る。困惑しつつも、300万ドルを越える遺産の相続人であるレイモンドを連れ出し、自分の自宅があるロサンゼルスへ向かった。しかしいつもと違うことをするのを不吉だと信じるレイモンドは、食事の時間も寝る時間も、1分たりともずれてはいけない。ベッドの位置も食事のメニューも、ホットケーキの食べ方さえも全てがいつも通りでないとだめなのだ。いつもと違うことが起こると極度の不安にかられるレイモンドに、チャーリーはいらだちと戸惑いを覚えた。しかし旅の途中、チャーリーはレイモンドの驚くべき能力を目の当たりにする。天才的な才能を持っているのに、外界とのつながりを持つことができないレイモンドと向き合う時間は、チャーリーの中の何かを変えていった。幼い頃に負った火傷、空想の親友だと思っていた「レインマン」の存在。不透明だった過去が旅の中で、次々と明らかになっていく。
 監督はバリー・レヴィンソン。原作のバリー・モローは脚本も執筆した。主演はダスティン・ホフマン、トム・クルーズ。アカデミー賞はじめゴールデン・グローブ賞、ベルリン国際映画祭などで作品賞を受賞。自由奔放な青年と、重い自閉症の兄との出会いと人間としての変化を描いたヒューマンドラマでありロードムービーでもある。レイモンドのモデルはアメリカやイギリスでその驚異的な記憶力が話題となったサヴァン症候群患者のキム・ピーク。
 弟トム・クルーズ、兄がダスティン・ホフマンの兄弟。この兄弟は別々に育ち父の葬儀で再会する。父親の財産を兄が相続に納得がいかない。そこで自閉症の兄の後見人になって自分が財産を管理しようとした。しかし幼いころのおぼろげだった兄の存在が蘇り大事な存在になってしまう。そして、本当に後見人になって面倒を見ようと誓う。旅の途中、兄の天才的な数字の才能を利用しカジノで大儲けをします。裁判で遺産目当てということで後見人は却下される。お互い別々に暮らすことになり最後は悲しい別れで終わる。
 レイモンドは1週間の食事のメニューと、見るテレビ番組を決めていて、思い通りにいかないと、パニックをおこす。飛行機もハイウェイも恐がる。下着はシンシナティのKマートで買わなければならない。そんなレイモンドに、ついにチャーリーはキレてしまう。自閉症を研究し尽くして演技に臨んだダスティ・ホフマンの表情や所作はすごかった。歩き方、身のこなし、パニック時の行動、自閉症の人の独特の雰囲気が驚くほどよく出ていました。この映画のヒットで、自閉症が広く認知されたとも言える。ただし映画を見た人の中には、レイモンドの自閉症が最後は完治したと思った人が多い。でも、自閉症は一生治らなかったのではなかったっけ。もっとも閉じこもりがちの鬱病や引きこもりなどを自閉症と総称する人もあって、それは治らないものではないと思う。でもここで見られるレイモンドの症状はいわゆる治療不可能な典型的な自閉症。そんなにこだわるべきことではないかも知れない。
 同じような自閉症を取り込んだ映画に『ギルバート・グレイプ』や『アイ・アム・サム』、すでに取り上げた『モーツァルトとクジラ』がある。比較できるものではないが、『ギルバート・グレイプ』のレオナルド・ディカプリオ、『アイ・アム・サム』のショーン・ペン、『モーツアルトとクジラ』のジョッシュ・ハートネットらはすべて熱演と言える素晴らしい演技だが、言葉・所作に限定して言えば、ダスティン・ホフマンがずば抜けてリアリティがあったと思う。ボクが鬱病に対して過剰なこだわりを持ってしまうように、自閉症を抱える家族にはある意味酷な映画かもしれない。
 ラストシーンがとても切なく哀しく感じたのはなぜだろう。

◎作品データ◎
『レインマン』
原題:Rain Man
1988年アメリカ映画/上映時間:2間14分./ユナイテッドアーティスツ配給
監督:バリー・レビンソン/原作・脚本:バリー・モロー/製作総指揮:ピーター・グーマン, ジョン・ピーターズ/製作:マーク・ジョンソン/音楽:ハンス・ジマー/撮影:ジョン・トゥール
出演:ダスティン・ホフマン, トム・クルーズ, ヴァレリア・ゴリノ, ジェリー・モレン, ジャック・マードック

recommend★★★★★★★★☆☆
favorite     ★★★★★★☆☆☆☆