北イラクでの遺跡発掘を調査していたアメリカの古生物学者でありカトリックの神学者でもあるメリン神父は、発掘中に悪霊パズズの像を発見した。それは、10年前にアフリカで彼と死闘を交えた悪霊であった。メリン神父はこの邪悪な宿敵と再戦する日が近いことを予感する。パズズのターゲットは、アメリカ合衆国であった。女優のクリスは、映画撮影のためワシントンのジョージタウンに滞在していたが、屋根裏で響く異様な物音に悩まされていた。鼠か何かだと思っていたが、ひとり娘であるリーガンの異変に気付いた。各界の名士を集めたリーガンの誕生パーティの夜だった。リーガンがベッドから起きて居間へやってくると、客の1人である宇宙飛行士に向かって「おまえは宇宙で死ぬぞ」といってその場に放尿した。その夜リーガンのベッドが巨大な何者かに揺られているように揺れ動いていた。リーガンの声は邪悪な響きを帯び、形相も怪異なものに豹変、荒々しい言動は日を追って激しくなった。クリスが主演した映画の監督が奇怪な死に方をし、キンダーマン警部がクリスの家に出入りし始めた。ついには医者からも見放されてしまう。娘が悪霊に取り憑かれたと知ったクリスは、カラス神父に悪魔払いを依頼する。悪魔憑きに否定的なカラス神父であったが、調査を進めていくうちに、リーガン自身からの救済のメッセージを発見する。カラス神父は悪魔払いの儀式を決意、大司教に許可を依頼する。主任には、悪魔払いの経験があるメリン神父が選ばれた。そしてふたりの神父は、少女リーガンから悪霊を追い払うため、壮絶な戦いに挑むが、メリンは心臓発作で倒れてしまった。その彼の顔が突然、悪魔の形相となり、そのまま窓から表に身を投じた。石段を転落して行くカラスの死体。2人の神父の死によって、とうとう悪魔はリーガンの肉体を離れ、滅び去ったのだった。
 20世紀後半のワシントンで、12歳の少女に悪魔がとりつき、肉体から悪魔を追放するために立ち上がった悪魔払い師の恐怖の戦いを描く。ウィリアム・ピーター・ブラッディの同名小説を原作とし、作者本人が脚色を行っている。監督は『フレンチ・コネクション』のウィリアム・フリードキンが担当。主題曲として使われた「チューブラ・ベルズ」も映画の印象を忘れられなくしてくれている。少女に取り憑いた悪魔とキリスト教の神父との壮絶な戦いを描いたオカルト映画の傑作。リアルに描かれたショックシーンが話題を呼び、世界中で大ヒットした。マックス・フォン・シドーやリー・J・コッブなど格調高い出演陣、『フレンチ・コネクション』でアカデミー監督賞を受賞し演出の手腕は証明されているウィリアム・フリードキンによって、これまでのただ驚かせるだけの恐怖映画とは違い完成度の高い作品となっており、公開から35年以上経過した現在でも高く評価されている。ホラー作品でアカデミー脚本賞受賞したのは珍しい。「エクソシスト」とは、「悪魔払いの祈祷師」という意味。
 映画の話題作りのため、フリードキンが撮影中の事故を誇張してマスコミに語ったため、都市伝説となった。公開当初、リーガン役はリンダ・ブレアがひとりで演じたことにしてあり、スタントや悪魔の声を吹き替えた役者の名前がクレジットされなかったため、訴訟になったという経緯もある。当初アメリカではR指定だったが、余りのショッキングさに世論が規制強化を要望、18歳未満は鑑賞できなくなった。イギリスやドイツでも規制がかかり、上映後に発生した事件と映画との関連が取りざたされたりもした。
 70年代、この映画からオカルトホラーというジャンルがホラーと区別されてブームとなったほど。またホラーはB級という概念を覆したとも言える。『エクソシスト』はシリーズ化されパート3まで作成されそのあと『エクソシスト・ビギニング』というのが作られている。続発する超常現象や悪魔に憑依されたリーガンの衝撃なシーンの連続。360度開店する首。身体が中に浮き、緑色の吐瀉物を吐く。クライマックスではエクソシストとして悪魔との戦いに凄まじさを増す。西洋医学、キリスト教、さまざまな背景の中で悪魔の存在を唱っている分、重厚で社会現象までになったオカルト映画のフロンティア的存在だ。2000年に公開された『エクソシスト/ディレクターズカット版』もまた、蜘蛛歩きの場面やサブリミナル効果の挿入、追加、変更された箇所などを加えオリジナル映像にデジタル技術でより恐怖の演出が再編集されている。『エクソシスト』はこれからもホラー映画の歴史の一部として語り続けられる作品だろう。

◎作品データ◎
『エクソシスト』
原題:The Exorcist
1973年アメリカ映画/上映時間:2間2分./ワーナーブラザーズ映画配給
監督:ウィリアム・フリードキン/原作・脚本・製作:ウィリアム・ピーター・ブラッディ/製作総指揮:エル・マーシャル/音楽:マイク・オールドフィールド, ジャック・ニッチェ/撮影:オーウェン・ロイズマン/特殊メイク:ディック・スミス/特殊効果:マルセル・ヴェルコテレ
出演:エレン・バースティン, リンダ・ブレア, ジェイソン・ミラー, マックス・フォン・シドー, リー・J・コップ

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