自動車整備工のカーターと実業家で大金持ちのエドワードが入院先の病院で相部屋となる。カーターの家族は毎日のように見舞いに訪れ、一方のエドワードは秘書だけが世話と仕事の報告にやってくる。2人には共通点は何ひとつなかった。共に余命半年の末期ガンであること以外は。カーターは死ぬ前にやっておきたいことをメモした。名付けて“棺おけリスト”。エドワードはそれを見つけリストの遂行を持ちかける。初めは渋っていたカーターだったが、2人は周囲の反対を押し切って冒険の旅に出るのだった。
 ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演で、死を意識した初老男性2人の希望に満ちた余生を描く人間ドラマ。知りあうはずのない環境も家族も宗教も何もかも違う病室で知り合った2人が意気投合し、“棺おけリスト―やりたいことリスト”の項目をひとつずつ生き生きと駆け抜ける。ややもするとお涙ちょうだい的な感動ストーリーを爽快なユーモアで描き切ったのは、名匠ロブ・ライナー。
 素直に笑って泣ける映画にしあがっているし、それでいい感じだ。無理やり泣かす必要はない。全てがたどり着くべき処に落ち着いて、気持がほぐれてゆく。人生の最終段階にきてようやく、出来なかったことをやりつくし、ようやく本当の友を得る。気をてらった配役でなく、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンがあたかも自分自身を演じているかのように、自然に人生を見せる。
 もしかすると40代半ばを過ぎて出会った映画で感動と共感を得られたのかもしれない。若いころならわからなかった後半の人生の揺れる何かだ。それを期限付きの原稿の締め切りように、癌が蝕みきる前に人生を完成させなければならないのだ。自分だったらどうなるのだろう。こんなすっとぼけた、しかし味のある最期を迎えられるだろうか、ボクはきっと無茶をしないんだろう、何かやり残したような思いを残しながら。
 そしてもし、自分ではなく、余命半年の親が世界各国を回る旅に出たいとカテーテルの口を気にしながら打ち明けたらやはりボクは止めるだろう。はらはらするに決まっている。向かう場所はタージマハル、ピラミッド、ヒマラヤ、韓国、やることは、スピードレーシング、スカイダイビング、人生のフィナーレを豪勢に飾る中で心を触れ合わせてゆく。これが初共演なんだな、と驚いたジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンはやはりいぶし銀の演技で、この映画はこの名優2人の演技と、巧みな台詞使いの脚本の成果だと思う。これは奇蹟など起こらず、70歳の俳優2人が主役で、末期がんで死ぬわけだから悲しい映画である。しかし、なんとなくしてやったりという感じのする映画なのだ。かけがえのない友情を築いてゆく、それが素晴らしいが、それよりも、それぞれが自分の心から求めていた、しり込みしていたものを見出し、いちばん大切なことを確認することになる。嫌みじゃない笑いのたくさんちりばめられた、決して老いぼれた人間でない生き生きとした人生の夢冒険をやってのけた人生謳歌に乾杯だ。

◎作品データ◎
『最高の人生の見つけ方』
原題:The Bucket List
2008年アメリカ映画/上映時間:1時間37分/ワーナーブラザーズ映画配給
監督:ロブ・ライナー/製作総指揮:ジャスティン・ザッカム, トラヴィス・ノックス, ジェフリー・ストット/製作:ロブ・ライナー, クレイグ・ゼイダン, ニール・メロン, アラン・グライスマン/脚本:ジャスティン・ザッカム/音楽:マーク・シェイマン/撮影:ジョン・シュワルツマン
出演:ジャック・ニコルソン, モーガン・フリーマン, ショーン・ヘイズ, ロブ・モロー, ビバリー・トッド

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