broadcast news

 テレビ局ワシントン支局の有能なプロデューサーであるジェーンは、ニュース・ライターでレポーターのアーロンと親友であり、絶妙な仕事のパートナーでもある。放送者会議で、ジェーンは地方局のトムと出会い、お互い反発した意見を戦わせた。トムはワシントン支局にレポーターとして起用、支局長のパーティの最中に、シシリーのアメリカ海軍基地が爆撃されたという報せが入り、急遽トムが特番のレポーターに抜擢される。放送日、自分が選ばれなかったアーロンは腐りながらも情報をジェーンに電話で提供する。その協力を得てジェーンは手腕を発揮し、トムのデビューは大成功した。その夜、トムは同じ局のレポーターのジェニファーと関係をもってしまう。後日、レイプされた女性へのインタビューで涙するトムのレポートは大反響をよび、ジェーンも、彼のやさしさにますます惹かれていた。やがて局は大幅な人員整理を行うこととなり窮地に立ったアーロンは、アンカーマンとしてのチャンスを乞う。当日、ジェーンはアーロンを元気づけてから、トムとパーティヘ。アーロンの本番は、原稿は素晴らしいものだったが緊張のため流れる大量の汗で大失態を演じてしまう。ジェーンはトムを待たせてアーロンの家へ行き、落ちこむアーロンを慰める。そこで愛を告白してしまうアーロン。ジェーンの心は揺れた。結局トムとのデートはキャンセルされ、アーロンとも不穏な空気に。人員整理が本格化し、周囲のスタッフは次々と辞めさせられた。ジェーンは支局長に、トムはロンドン支局に栄転。アーロンは解雇を避け自らポートランドのニュース局へ移る決心をする。トムは、ロンドン行きの前に南の島で休暇を過ごそうと、ジェーンに提案。旅立つ前日、ジェーンはアーロンの忠告で、例のインタビューでのトムの涙は、作為的なものだったことを知る。幻滅するジェーン。そうして7年後のワシントン、それぞれの道を歩むジェーン、トム、アーロンの3人は、再会を喜ぶのだった。
 監督は『愛と追憶の日々』のジェームズ・L・ブルックス。これが2作目となる。デビュー作でオスカーを取ってしまい、作品のスケールからしても、この映画は物足りなく感じたはず。しかしそれは前作からの期待感によるもの。短髪でこの映画を見ればもっと違う見方ができる。現にニューヨーク映画批評家協会賞では最優秀作品賞をとっている。この年は『ラスト・エンペラー』という超大作のためにアカデミー賞では影に隠れてしまった感がある。無冠に終わっている。しかし、ほとんどのカテゴリーにノミネートをされ、特に演技陣の評価は高かった。『蜘蛛女のキス』での名演のせいで生ぬるい演技に終始して見えるが、実はいちばん人間らしい人間のいやな部分もいい部分もリアルに演じている。アンカーマンとしてのスター性も出している。でも地味なためにホリー・ハンターとアルバート・ブルックスの方が印象が強い。やる気と野心はあるのにその風格や運のなさからどんどん深みに嵌っていく自滅的な役をアルバート・ブルックスは見事に演じた。普通人の悲哀である。この映画は彼の存在なしに語れない。そして何といってもややもするといやな女にしか見えないキャリアウーマンを強い存在感とパワーで引きこんだのがホリー・ハンター。ボクはこの映画で彼女の大ファンになった。『ピアノレッスン』と対極を成す演技と言える。両方こなせるのはすごい。でも実際の彼女だったら、こんな強いの厭だな。ただ、それでもその弱い部分を泣くことでストレス発散するあたりは彼女の性格をよく表したシーンだ。それだけため込んだものがあるわけで、それだけ芯は弱い女だとも見せてくれる。このせいで厭な女になりきれずに済んでるのではないだろうか。
 この映画は当初、テレビ界の裏側を描いたテンポの速い映画だという売りで予告編が作られていた。しかし、それはほんの一部、言ってしまえばホリー・ハンター演じるジェーンがいかに優れたプロデューサーであるかを見せつけるためだけの要素だ。リストラや組織の厳しさはあるもののそれはテレビ業界に限ったことではない。この映画は何を隠そう三角関係を描いたラブストーリーだったのだ。だから予告編で観に行った人は意表を突かれつまらなさを感じただろう。とはいえ、製作サイドの緊迫感は伝わったし、やらせに対する問題提起などはあって、設定は活きている。結局甘ったるい映画になってしまったのは3人をすべて肯定し、テレビ業界も否定しなかったところにあるのではないだろうか。ただボクはラブストーリーとしてこの映画を絶賛する。現場の駆け引き、緊張、虚栄心、ねたみ、プライド、達成感と虚無感、そんな空気感の中で、今、共感をそれぞれに得られる貴重な映画だと思う。
 あと、カメオ出演のジャック・ニコルソンもいい引き締め役をしていると添えておこう。

◎作品データ◎
『ブロードキャスト ニュース』
原題:Broadcast News
1987年アメリカ映画/上映時間:2時間12分/20世紀フォックス配給
監督・脚本・製作:ジェームズ・L・ブルックス/製作総指揮:ポリー・プラット/音楽:ビル・コンティ/撮影:ミハエル・バルハウス
出演:ウィリアム・ハート, アルバート・ブルックス, ホリー・ハンター, ジョーン・キューザック, ロバート・プロスキー

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