go 2

 杉原は、日本の普通高校に通う3年生。在日韓国人三世である。父親に教え込まれたボクシングで、ヤクザの父親を持つ加藤や朝鮮学校時代の悪友たちと喧嘩に明け暮れる日々を送っていた。彼は朝鮮学校時代、民族学校開校以来のバカと言われ、社会のクズとして警察にも敬遠されるような存在だった。ある日、杉原は加藤の開いたパーティで桜井という一風変わった少女と出会う。ただ、男子の悪友とばかりつるんでいた彼にとって新しい日常が舞い込んだ感じだ。ぎこちないデートを重ねて少しずつお互いの気持ちを近づけていった。そんな折り、尊敬できる友人であったジョンイルが、誤解から日本人高校生に刺されて死んでしまう。親友を失ったショックに愕然としながらも、なぜか同胞の敵討ちに向かう仲間に賛同はできなかった。彼は桜井に救いを求める。そして勇気を振り絞って自分が在日朝鮮人であることを告白するのだった。
 小説「GO」は、2000年に講談社により発行された金城一紀の作品で同年の直木賞を受賞した。2001年10月に行定勲によって映画化された。行定監督は当時小作品『ひまわり』で映画デビューするもさほど話題にもならず、この作品で名を知らしめた。どちらかというと直木賞作品の映画化という話題先行の様相は否めない感じだったが、作品自体、クオリティの高さを見せつけ、結果的に大成功を収めた。事実この後、人気監督となり『世界の中心で、愛をさけぶ』『北の零年』『春の雪』と秀作を撮り続けている。そして、この主人公カップルを演じた窪塚洋介と柴咲コウの出現は若手実力派に陰りを見せていた映画界に活気をもたらした。この後柴咲コウは順調にキャリアを積む。しかし残念ながら窪塚洋介は実生活の奇行や飛び降り騒動がマイナスイメージを植え付け、今必死に作品を選んで復活の日を準備している段階のように思う。この映画は作品自体と、主演男女優に加え、実力派の大竹しのぶ、山崎務の助演を得て、すべてのカテゴリーで賞を総なめした。ざっと挙げてみてもキネマ旬報賞日本映画第1位・監督賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞、第25回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞・最優秀助演女優賞・最優秀助演男優賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀撮影賞・最優秀照明賞・最優秀編集賞、第44回ブルーリボン賞助演男優賞・監督賞、第56回毎日映画コンクール脚本賞、第26回報知映画賞作品賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞、第14回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞・監督賞、第14回日本映画批評家大賞主演男優賞・助演男優賞(山本太郎)・監督賞などである。いずれも主演男優は窪塚洋介、助演女優は柴咲コウ、助演男優は第14回日本映画批評家大賞以外は山崎勉である。
 日本映画をよく観るかと言えば大体洋画8か9に対して邦画2か1しか観ていない。アニメやホラーとなると半々になるが、どうも日本映画はスケールが小さく見えてしまうし華やかさに欠けると思えてしまう。何がいちばん好きかと訊かれると結構困る。大作となると歴史ものちゃんばらになりがちだ。しかし、日常や青春を描いた小さなっ作品となると気の利いた作品が多い、そこそこ好きな作品はたくさんある。
 このところ取り上げる映画がすべて登場人物がどこかにハンディを持った作品が多い。今回は在日朝鮮人だ。アメリカが黒人差別が問題だとすれば、そこに及ばなくとも匹敵するのが、日本の場合、同和差別問題と在日朝鮮人差別問題だと思う。実際、ボクが子供の頃は、朝鮮人は身分が低いとか韓国人は怒りっぽいとか、暗黙の通説だった気がする。今となっては実にナンセンスだ。ボクもまったくと言っていいほど古い感覚は持っていない。むしろ、そんな話題になると嫌な気分になる。ここ数年の韓流ブームでアジアの国境の枠はかなり取り払われたものだと思う。しかし、その一方で靖国の問題は増大するばかりだ。人として、きっとほとんどの人が国別の差別をしていないのに対して、愛国心から歴史の汚点はいまだに尾を引いているのではないだろうか。まだまだ、きっと、当人たちはボクが感じているよりずっとずっと不都合や怒りを感じているのだろうと、ときどき感じて止まない。もっと、切実さを持って意識した方が良いのかもしれない。 

 

◎作品データ◎
『GO』
2001年日本映画/上映時間:2時間2分/東映配給
監督:行定勲/原作:金城一紀/脚本:宮藤官九郎/製作:佐藤雅夫, 黒澤満/音楽:めいなCo./撮影:柳島克己ー出演:窪塚洋介, 柴咲コウ, 大竹しのぶ, 山崎勉, 新井浩文
 
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