roots and blanches 

 現代、アメリカ育ちの若き女性指揮者スーティエンは、20年ぶりに祖国・中国の大地を踏みしめた。北京での記念コンサートに来ていた彼女だが、目的はもうひとつあった。20年前に別れたきり消息不明になっている兄、弟、妹の行方を探すというものだった。恋人のデイビッドと空港に降り立ったときタクシー運転手になっていた兄のイクーが彼女の帰国の新聞記事を読み駆けつけていたのだ。しかし、トラブルに巻き込まれ警察に連行される身になってしまう。後日デイビッドが弟ティエンの消息を掴む。彼は妹ミャオの手紙を持っていた。両親の墓参りで再会を誓う二人だった。ミャオはそのころ北京のディスコで踊っていた。酔っ払ってデイビッドの胸に倒れかかるミャオ、ふたりはぎこちない再会をした。その晩、ミャオのボーイフレンドに酔ってイクーが絡んだことから、新聞記事を持っていたイクーが自分の兄であることを知るミャオ。20年前、当時7歳だったスーティエンの父は、小学校の音楽教師として貧しい日々を過ごしていた。しかし愚痴も言わず、病弱だが気丈な母とともに、幸せな日々だった。「辛いことがあっても音楽があれえば寂しいことはない」と音楽に溢れた家庭だった。ところがある夜、結核の咳がひどくなった母を父が背負って、病院に行く途中、大雪の道で馬車が崖から転落。二人は不慮の死を遂げてしまった。こうして残された4人兄弟姉妹は、それぞれ別の家族の養子となり、離れ離れになってしまったのだった。そして、スーティエンのコンサート当日、演奏が始まってから、警官に連れられたイクーが姿を現わした。演奏は父が作曲した思い出の曲だ。4人の兄弟姉妹は20年の時を経て遂に再会を果たした。眼と眼を合わせただけで二度と離れ離れにならないと暗黙のまま誓うのだった。
 タイトルは「再見」と書いて「ツァイツェン」と読む。監督はこれが長編映画デビューとなるユイ・チョン。中国の第6世代と呼ばれる新進気鋭の監督の一人、成長株だ。スイスのカステリナリア国際青年映画祭でグランプリ、モスクワ国際映画祭でテディベア特別賞を受賞している。主人公スーティエンの兄と弟を演じる二人は名演技で若くしてキャリアを積んでいる。すでに過去にいくつかの男優賞を受賞している。また、妹のミャオを演じているチェン・シーは新人ながら、コン・リーやチャン・ツィイーが学んだ北京中央戯劇学院の卒業生で、将来が注目しされている。また父親を演じている中国でロックスターであるカリスマ的人気を誇るツイ・ジェンは温厚で優しくもあり強靭な精神を内に秘める素晴らしい演技をしており、とても映画2作目とは思えない。ただ、正直、主演のスーティエンを演じるジジ・リョンが有望な若手女性指揮者という設定のせいかモデルみたいに見え他の家族とのギャップを感じ違和感を感じたのは否めない。少し残念だ。
 だが、何といっても、4ケ月のオーディションを経て約3000人の中から選ばれた、4人の兄弟姉妹の20年前を演じる子役たちが素晴らしい。イクーがまずミャオの里親を見つけて手放してから立ち去ろうとする兄姉を追いかけて4人抱き合うシーン、スーティエンをなけなしの金を握りしめて「どうかこの子を貰ってください」と頭を下げるシーン、弟妹の貰い手を何とか見つけて最後独りになってから泣き崩れるシーン、これがとにかく泣かせる、泣かせる。昔、アメリカ映画で『ロング・ウェイ・ホーム』というのがあった。よく似ているし、よく比較されているようだ。子役を使って泣かせる映画は正直言って狡いと思うし好きではない。しかし、この映画は本当に子役で泣ける。子役がうまいから、大人になった4人の抱き合うシーンは泣けるのだ。正直、大人になってからの4人はストーリーに結末をつけるだけの存在に見えてしまっている。警察がらみになるイクーの執拗な隠れ方や、演奏の途中でスタンディングオべーションで舞台の抱き合った兄弟を拍手するなんてあり得ないだろうとか、突っ込みどころは多い。作品としては古くさく陳腐なんだろう。しかし、それを以てしても有り余る子役たちの感動をくれた演技に乾杯、である。これだけ泣けるのは珍しい。気持ちの綺麗になる映画だ。

 
 ◎作品データ◎
『再見 また逢う日まで』
原題:我的兄弟姐妹(英語タイトル:Roots and Branches)
2001年中国映画/上映時間:1時間35分/シネマパリジャン配給
監督:ユイ・チョン/脚本:ユイ・チョン, チェン・トン/製作総指揮:マンフレッドウォン, カーミー・リー/製作:リー・チューアン/音楽:ロアン・シュー/撮影:カン・ルー
出演:ジジ・リョン, ツィ・ジェン, シア・ユイ, ジャン・ウー, チェン・シー
 
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