the shawshank redemption

 1947年、銀行の若き副頭取アンディは妻殺しの容疑で、ショーシャンク刑務所に投獄される。誰とも話さなかった彼は、1ケ月後調達係のレッドと打ち解ける。彼の頭脳を使った取引で数々の刑務所内の問題を解決し、仲間たちに一目置かれるようになる。やがて所長に図書係を任命された彼は、実は資金運用や税金対策のために働いた。1963年所長は地元の土地業者からわいろを受け取り、アンディに洗濯させていた。1965年コソ泥で新入りのトミーが真犯人を知っているという。アンディは20年目にして無罪証明に躍起になるが、所長は彼を相手にしない。彼が釈放されると所長の不正が明らかになるのを恐れたのだ。アンディは懲罰房に入れられ、その間に頼みのトミーは殺されてしまう。アンディは27年かかって壁に穴を掘り、嵐の晩に脱獄に成功する。そして所内の不正を暴露するのだった。

 

 スティーブン・キングのノンホラー小説「刑務所のリタ・ヘイワース」の映画化。1995年度キネマ旬報のベスト1に選出されている。なんとフランク・ダラボン監督初作品というから恐れ入る。しかもアカデミー賞にノミネートもされた。残念なのはこれを超える作品を作っていないことだ。『グリーンマイル』という名作もあるが、ボクはやはりこの映画には敵わないと思う。原題をそのまま訳すと「ショーシャンクの贖い」となる。「購い」彼には贖うことなど何もなかったはずだ。これは刑務所の中の人間の贖いか、それとも刑務所自体の贖いか。ティム・ロビンスはこれまでの最高演技を見せていると思う。それに、失礼かもしれないがモーガン・フリーマンは優しい囚人が実によく似合う。味がある。ドラマの展開はテンポよく、しかも奇抜で、脱獄に関する小道具や伏線がとても巧妙だ。なるほどそうだったのか、と唸らせる個所が随所に見られる。普通、映画では脱獄に失敗する映画が多いのだが、まんまと成功するところにこの映画の痛快さがある。してやったりと、共感してしまうのだ。アメリカ映画も懐が深いというか、こういう映画を興行出来てしまうところがすごい。『靖国』が満足に上映できない日本とは大違いだ(靖国参拝を肯定しているわけではないので。肯定も否定もこの場では意見を控える。ただ、映画は上映されて然るべきだと思う。見てからの議論だ)。かつて刑務所を舞台にした傑作映画が何本かあったが、この映画は、一種独特の柔らかさも持ち合わせていて、堅苦しいばかりでない、後味のいい映画に仕上がっている。希望を決して棄てないこと、アンディに自由をもたらしたストーリー展開は衝撃だった。奇跡を起こしたアンディの雨の中で天を仰ぐシーンは特に秀逸、酔わされる。

 映画の中でティム・ロビンス演じるアンディが言うセリフがある。「希望は良いものだよ。多分一番のものだ。良いものは決してなくならないんだ」「頑張って生きるかそれとも、頑張って死ぬか」と。個人的なことだが、鬱のボクにはこれは力になる言葉だと思う。ボクは頑張って鬱を治すのか、頑張らないで鬱を治すのか。頑張らないことが必要な鬱。頑張らないことを頑張らなければ治らない。

 またこんなセリフもあった。「面白いことに、外の世界では僕は正直で真っ直ぐな人間だった。刑務所の中に入ってやっと悪党になれた」皮肉な言いようだ。ボクは思う、元気で忙しくて11秒を惜しんでいたころ、自由な時間が欲しくて仕方がなかった。ところが鬱になって初めて自分はあらゆることにサボれないことを知った。きっと治ってもサボれない。性分だ。人から見ればサボってるかも知れない、手を抜いて見えるかも知れない。でも、サボれないのだ。自分の心に「まあ、いいや」が存在しない。「とことん」「一生懸命」「必死」ばかりが心の隙間を蠢くように占めている。

エンディング近く、モーガン・フリーマン演じるレッドが言った。「国境を越えられたらいいが。友達に会えたらいいが。そして、握手できたらいいが。太平洋が夢で見たように青ければいいが。それが私の望みだ」スティーブン・キングの言い回しは言い得て妙だ。希望というものをいつまでも持ち続け、夢を果たす。絶望の向こう側に夢が待ち受けていることもあるのだ。絶望を乗り越えさえすれば。アンディもレッドも諦めなかった。ボクも諦めないでいよう。今は病気を治すこと、これは夢じゃないかな。いつか諦めてないことを叶えよう。

 
 ◎作品データ◎
『ショーシャンクの空に』
原題:The Shawshank Redemption
1994年アメリカ映画/上映時間:2時間23分/松竹富士配給
監督・脚本:フランク・ダラボン/原作:スティーブン・キング/製作総指揮:デビッド・レスター/製作:ニキ・マーヴィン/音楽:トーマス・ニューマン/撮影:ロジャー・ディーキンズ
出演:ティム・ロビンス,モーガン・フリーマン,ウィリアム・サドラー,クランシー・ブラウン,ボブ・ガントン
 
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